明治の文明開化の中、先人たちの伝統と挑戦の融合した近代日本美術も気になるところ。
平成の大修理さなかの姫路城を横目に入館した。(2012年4月24日)
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美人画は1907年に始まった文部省美術展覧会(文会)において登場し、1915年には日本画のジャンルとして確立したという。
大正期には、女性の生活と内面の描出が試みられるようになり、内的生命を宿す美人画の傑作が続出したそうな。

お気に入り作品を何点か挙げよう。
■菊池契月「散策」(1934年)
本展のポスターに選定された作品。二匹の黒犬を散歩に連れ出す断髪の少女。萌葱色の背景に梅の花。橙色の着物の鮮やかさが引き立つデザインが気に入った。

■まつ(窓の心の部分が木)本一洋「送り火」(1916年)
盆の夜、故郷で送り火を焚く三人の娘。末娘は、あまり意味のわかっていない表情を見せながらも、姉二人を真似て先祖の霊を還す儀式に取り組む。
背景を巨大な月が照らす中、上がる煙の向こう側が彼岸に繋がるような、ロマンティシズム溢れる作品だ。

■秦テルヲ「母子」(大正末期)
幼子を抱く母親。わが子を力強く護る意志の宿った目と細い眉、締めた口元が印象的だ。
作者は初期に労働者と女性をモチーフとした作品を描き、後に宗教画を手がけたそうだが、なるほど、本作も"耶蘇教の聖母と幼子"を連想させるな。

■勝田哲「朝」(1933年)
本展で一番のお気に入り。
上品なベージュの花柄のツーピースに身を包む、これは若奥様だな。起床して着替えたものの、またベッドに横たわり、お気に入りのレコードを聞く。レコードのコレクションは女性の自慢なのだろう。
品良い家具調度を揃えた洋室の窓は開き、レースのカーテンが朝の風にはためく。この心地好さそうな季節は4月か、5月か。
豊かな戦前都市郊外生活の最後の華。昭和モダンの香りは、やはり良いものだ。

麗しき女性の美
2012年5月27日まで開催

姫路市立美術館
http://www.city.himeji.lg.jp/art/