中国人留学生ココちゃん、梅虹智は21歳の大学生。かつて姉が働いていた高級すき焼き店で仲居のアルバイトを始め、赤裸々な日本の人間模様を観察することになる。
「主人がいつもお世話になっております」と言われ、慌てて両手を畳につき低頭するココが初々しい。

日本人の夫を持つ姉の悩みと"明かされた秘密"、人の良い老夫婦の末路、着飾った若い"水商売"の女性=水道局職員(笑)の溜め息、ブルーカラー労働者のささやかな贅沢。
そして実らぬ恋。

同じ大学に通う韓国人留学生から言い寄られるも煮え切らないココ。気になるのは弥生人顔のイケメン店長。日中韓の文化の違い。

弥生人顔のイケメン店長から東京ディズニーランドでのデートに誘われ有頂天になるも、直前に彼が妻子ある身と知り、眠れない夜を過ごす。そこへ韓国人留学生からの電話が、必死のアプローチを試みる電話が届き……多感なココの、揺れる青春が実に瑞々しい。

芥川賞を獲得した外国人の著す日本の姿には、なるほど、と思わせてくれるところがある。
ユーモアに富んだ観察眼ともども、楊逸さんの次の作品を楽しみにしたい。

すき・やき
著者:楊逸、新潮社・2012年5月発行
2012年5月22日読了