ポスト情報化時代の模索が始まっている。イメージと資本が加速度的に世界の姿を塗り替えてゆく中で、人の「手」によるアマチュア的創造が、生産的消費生活が、生きることの喜びを担保するであろう、そんな時代が見えてくる。
キーワードはいくつもあげられるが、たとえばテレコミュニーケーション技術の深化の果てにもたらされるコトが"近接性、あるいは生活圏の再発見"であろうことは、なるほどと思わせてくれる。

「破壊しつくされた世界の中で、もし芸術という言葉が発せられたなら、それはなによりも『創造する手』としての芸術、人間の原点としてのアートであろう」(p208)
何もないところから、モノをつくる。感性の価値が問われる時代が見えてくるな。

芸術回帰論 イメージは世界をつなぐ
著者:港千尋、平凡社・2012年5月発行
2012年5月28日読了