1920年代後半における日本人芸術家の活動の軌跡を見てやろうと、仕事を終えて神戸から大阪・心斎橋まで足を運んだ。(2012年6月22日)
リニューアルされた大阪駅に感心したが、まぁ、アジア人の増えたことには驚いた! 心斎橋"キタ"のマナーも悪化したような気もするが、仕方のないことか。
心斎橋展示室は東急ハンズの隣、オフィスビルの13階だ。

佐伯氏は東京美術学校を卒業後、すぐに家族3人で渡欧したそうな。1923年11月26日に日本郵船・香取丸に乗船、神戸を出港し、1924年1月3日に巴里へ到着。
上海と巴里から投函された絵葉書が残されていた。当時のヨーロッパの郵便制度では、切手は"絵"の面に貼られ、消印もその上に押されたのか。(上海投函のモノは現在と同じ体裁だが。)

巴里在住の日本人芸術家の集う室内写真が展示されているが、大正末期のブルジョアな人々の群れに見えるな。
30歳の若さでフランスの精神病院で病没。南無阿弥陀仏。

お気に入り作品を何点か挙げよう。
■佐伯祐三「街角の広告」(1927年)
Posters at a Street Corner
街中の雑居ビルの3階であろう場所から俯瞰した街の裏通りだろうか。大胆な遠近法を取り入れた奥行きと影。左手前の鮮やかなポスター類と右奥へ消えゆく路地の対比が素晴らしい。
ユトリロが白なら、佐伯は"街に宿る黒の深み"が持ち味だな。

■荻須高徳「ムフタール街」(1932年)
Rue Mouffetard
カンヴァスに建物の白い壁が映える。佐伯の作品群からは建物が主題で、人は添えもののような感触を受けたが、こちらは明るい空の下、街ゆく人々の活気が画面からあふれ出そうだ。

■里見宗次「KLMオランダ航空」(1933年)
KLM
石版ポスターの中で最も気に入った。エアブラシに、画面の四隅を囲む文字群。カッサンドルの影響は明らかだが、まんなか狭氏と斜にレイアウトされた航空機と透けてみえるヨーロッパの地図が、素晴らしい仕上がりとなっている。
これは部屋に飾りたいぞ!
「コート・ダジュール」(Cote d'Azur 1935年)も素晴らしい!

……サントリーから贈与されたポスターの展示室では、女性職員(キュレーター)が眠りこけていた。目を覚ましては背伸びし、靴を気にし、衣服のしわを気にし……ヒマで退屈でも、これで給料もらってんだから、少しは観客を見たらどうだ、と言いたくなる。こんな職員を大事に囲っているなら、大阪市立近代美術館(仮称)も「仮称」のままでいいだろう。

Yuzo Saeki and Posters in Paris around 1920s
佐伯祐三とパリ ポスターのある街角
2012年7月16日まで開催

大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室
http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu120/artrip/