大正末期から昭和30年代までの絵葉書を鑑賞しつつ、どこか懐かしく、でも記憶に新しい"トウキョウ"の姿を探る一冊。
彩色絵葉書の魅力を存分に味わえる、全ページオールカラーなのはポイント高し。

超高層建築物や首都高速のない街並みは、実に新鮮かつ魅力的だ。銀座、新宿、浅草は昭和モダンの豊かな賑わいにあふれているし(p35,109,150,170)、丸の内のオフィス街は二重橋と皇居の緑と相まって、とても日本的な都会に映る(p78)。
そして屹立する日本電波塔=東京タワーは、ゆがみを内包しつつ急激に発展する戦後日本経済の象徴であったことが、あらためてわかる(p161)。

個人的には、帝都復興祭の盛り上がりを残す奉祝花電車や「御大礼記念国産振興東京博覧会・御大礼記念館夜景」絵葉書が気に入った(p76)。

「終景」には航空機や気球から撮影したと思われる俯瞰写真が取り上げられる。この位の"ほどほどに発展した都市"が、実は住み良い場所なのだと思える。

"昭和モダン"な東京には関東大震災の記憶が生々しく残り、その影が数々のモニュメントや観光スポットにも投影されていることを、あらためて本書で知った。
「そこに生きていた人々の思い…は今も息づいている」(p205) うん、著者のあとがきにRTだ。

ロスト・モダン・トウキョウ
著者:生田誠、集英社・2012年6月発行
2012年7月27日読了