全ページカラー。歴史的観点から、本の深い世界の一端を覗かせてくれる。

・中世修道士が写本を読み、ペンにより思いを書き込み、思考を進めたキリスト教修道院の一室は特別な空間であり、その姿が描写された絵画により、書斎のあるべき姿を再確認させてくれる。理想型のひとつ。(p70)

・江戸の庶民の読書レベルには少なからず驚かされる。貸本の普及と言い、1600年代の西欧諸国の都市住民を凌駕していたのではないだろうか。(p80,86,89)

・雑誌は書籍と別に発展したのか。(p116)

GoogleやAmazonのおかげで書籍の探索が格段に楽になった。
将来的には、日常の情報収集・調査、ちょっとした小説は電子書籍、長編小説や絵画集などは書斎を飾る豪華本といった具合に、"本の棲み分け"ができるのだろう。
それでも、ページを指で繰ることは読書の充足感に直結するし、この感覚は大切にしたい思う。
漱石全集や芥川龍之介全集は手元に置いておきたい。

図説 本の歴史
著者:樺山紘一、河出書房新社・2011年7月発行
2013年3月5日読了