芸術志向と技巧を極限まで追求したファッション・プレート。1920年代に写真が本格的に印刷媒体に使用されてからもファッション挿画本を飾り続け、アート紙に残された品質の高い印刷は、100年の時を経てもなお、われわれの目を楽しませてくれる。

本書はアール・デコ期に創刊された代表的なファッション誌、Gazette du Bon Tonや Art, Gout, Beaute等に掲載された著名イラストレータの作品から著者所有の97枚をB5版の美麗イラストで紹介するとともに、世紀転換後の服飾史におけるアール・デコ・スタイルの革新性が解説される。

・ジョルジュ・バルビエはもちろん、ジョルジュ・ルパプ、ファビウス、フランシスコ・ゴゼら大物イラストレーターの作品を堪能できる。
個人的にはバルビエの『"ああ、なんと美しい時代であることか"パキャンのアフタヌーン・ドレス』(1913年・GBT誌)が気に入った。(p53)

・現代服飾の起点、アール・デコ・ファッションの先駆であるポール・ポワレの存在が如何に大きかったか。まさにデザイン史の一里塚。

・現代的な服飾の方向性を示す大衆ファッション誌と一線を画し「芸術性のある伝統的な手彩色のプレートを復活させようとする動き」(p124)は、先人の遺業の一つと数えて良いだろう。
電子書籍の一般的になりつつある現代においても、特に趣向性の高い書籍を対象にすれば極めて有意義だと思う。

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アール・デコの優美なファッションイラスト
編著者:石山彰、グラフィック社・2013年4月発行
2013年5月30日読了