漠然とした経済活動に身を置きながらも、遠大なスケールの視点は日常への異なる対峙方法へと導いてくれる。
歴史家の目を借りて世界を見る。その楽しみを教えてくれた一冊となった。

真のイギリスの支配階級とは。
・英国は工業国ではない。地代と利子を源泉とする資本家ジェントルマンの国である。
・彼らに対し「消費者勢力」が抵抗勢力となっている。
・帝国植民地=周辺国への低開発の押しつけと収奪は、現在の世界システムにも継承されている。

次代のヘゲモニー国家。
・近代世界システムの終焉の兆しが顕著となっている。
・アメリカに続く覇権者は、もはや国家ではない。
・国の規模を超えたアクターが覇権を握る。その意味で東アジアからは現われないであろう。(p184)

衰退する日本の遺すもの。
・18世紀の英仏の争う姿が21世紀の日中に重なる。オランダ資金を活用できたイギリスがフランスに勝利したことは、アメリカ資本と軍事力を取り込むことの重要さを示唆する。
・日本経済は長期的・相対的に埋没する。ならば繁栄の記憶として「文化」を世界に発信し、後世に残すしかない。(p155,172,206)
・緩やかな経済の衰退こそ、日本が英国に見習うべき点であり「粘り」が必要とされる。(p177)
・日本が日本でありうるためには「生活文化」のアイデンティティを確保する以外にはない。(p162)

グローバル企業の連合体が為政者を従属させ、ネットワークにより極度に均一化された世界に君臨する未来が見えてくる。
そんな世界でローカルな日本人の果たす役割を考える時期が来ている。そういうことだな。

イギリス繁栄のあとさき
著者:川北稔、講談社・2014年3月発行
2014年8月9日読了

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