未曾有の事態に遭遇したとき、運命を決するものは何か。
それは"決断"と"果敢な行動"であるとの著者のメッセージが伝わってくる。

本書の登場人物は多岐に渡るが、陸上幕僚長の火箱陸将と国土交通省の大畠大臣の即断即決が強く印象に残った。
職種は違えど、未曾有の大災害に対面してのこの対応。このような上司を持ちたいし、自らもこうありたいと思う。

上層部ばかりでははい。放水車のドアを開け、自ら被爆しながら任務を遂行する自衛官と警察官。自らの家族への思いと"日本"への思い。悲壮を超えた、彼らの現場での過酷な決断には、頭の下がる思いだ。

陸上自衛隊・中央即応集団、中央特殊武器防護隊の自衛官が、水素爆発に巻き込まれる描写は圧巻だ。(p33~)
もし一歩、タイミングが違っていれば……。
これが上級司令部の正式命令を受けていない行動だったことにも驚かされた。すべては自衛官の責任観が危険を顧みずに、自身の体を推したってことなのか。

第二章が新鮮だった。東北地方整備局の、日ごろクローズアップされることのない一般の男女職員の、危機に際しての"命がけの"働きが道を"啓き"、震災当日からの救命・救助活動を可能にしたことは、もっと周知されて良いだろう。

菅直人と海江田万里。この二人が政治のトップに就いていたことが、日本の不幸だったんだな。
東京電力は……万事が万事、無責任。この一言に尽きる。

「危機管理において、最大のリソースは、やはり『人』であることをあらためて確信しました」
DMAT事務局長、小井戸氏の言葉が心に残る。(p459)

前へ! 東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録
著者:麻生幾、新潮社・2014年3月発行
2014年8月21日読了

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