■JAPONISME in Czech Art ジャポニスムのいまむかし
プラハ城に隣接するNarodni galerie 国立美術館(ナショナル・ギャラリー)で「チェコにおけるジャポニズム展」が開催されていることを偶然に知った。
16:00に入館、100Kc。入口がわかりにくいな。

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パンフレットによると、展示物はすべてチェコ国内のもの。1880年代から1930年代にかけてのチェコの視覚芸術に対し、日本がどのような影響を与えたかを紹介し、当時チェコで行われた日本に関する展覧会も紹介するとある。

・ジャポネズリーの波
1888年、オーストリア=ハンガリー二重帝国時代のリソグラフ。
貿易商メゾン・スタニェクの娘さん、『Emanuel Stanek エマヌエル・スタニェク』嬢に和服を着せ、当方の幅広い物産を扱っていることをアピールしたものだろうか。

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同じく貿易商メゾン・スタニェクのカタログ(1910年)。葛飾北斎の『絵本孝経』(1849年)とそっくりだ。

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・ヨーロッパが観た日本・芸術への直接の影響
幅広く日本芸術を紹介し、自身も来日したことのあるEmil Orlik エミル・オルリクの作品『Akt 裸体画』(1904年)にリソグラフ『Japon album日本のアルバム』(1901年)

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Karel Simunek カレル・シムーネクのポスター『Panorama Gea パノラマ・ゲア』(1899年)
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・ジャポニズムの表現方法と芸術、モダニズム
1890年代にアール・ヌーヴーがチェコにも押し寄せる。日本デザインはモダン表現の格好の手本とされた。
これは卍つなぎのモチーフ。雑誌「自由な志向」表紙デザイン

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・憧れの日本
「詩的な日本崇拝」の第一人者であった作家、ホロウハは文学作品『嵐の桜』を発表している。
そのホロウハが1908年のプラハ記念工業博覧会内に開店し、1924年までプラハ市内で営業の続けられた和風カフェ「横濱」を描いたリソグラフ作品が気に入った。

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浮世絵をベースに製作された蔵書票の数々
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・収集家と日本芸術展・芸術家たちの反応
1913年のプラハ日本木版画展によって、現代芸術家の間で日本芸術・美学の認知度が高まったとある。
1911年の『古き時代の日本展』のポスターが良いな。

・ジャポネズリーの新しい波・空想か現実か
こちらは1920年代に開業したホテル・レストラン「櫻」。もはや現実の日本から離れ、空想かつ理想のジャポニスムが追及されていったことがわかる。

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映画『心優しいヴァレンティン』(1942年)に登場するそうで、一度観てみたいな。

うーん。堪能した! 図録も購入したぞ。250Kc

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■で、現在のジャポニスムといえば……

ヴァーツラフ広場近郊の書店にディスプレイされていた1冊の本、これが
MADE IN JAPAN, ESEJE O SOUCASNE JAPONSKE POPKULTURE
だ。

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現代日本のアートデザインからはじまり、オタク文化、MANGA、ANIME、日本映画、キティまで。

・MANGAは、The Japan Punch(1884年)からサザエさん、アタックNo.1、大島弓子、島耕作、美味しんぼ、少年ジャンプ等がチェコ語(読めない)で解説される。
・ANIMEは偏った写真ばかりで、面白くない。
・VIDEOHRYが本書の中心に据えられているように思われる。ゲーム、ガンダム、ポケモン。内容が少し古いかも。
・FILMはやはり、KITANOなんだな。
黒沢明はチェコ語でAkiry Kurosawyと書くのか。

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巻末の用語解説が面白い。
JAKUZA FILMY(高倉健)、J-POP、JONKOMA MANGA(4コマまんが)、KARAOKEはともかく、
FAN SERVICE、FUDZOSI(腐女子)、GACAPON(ガチャポン)、HIKIKOMORIって、どこまで。。。

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94ページのガンダム(実物大のお台場ガンダム)を紹介する記事に「robota」と書いてある。

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そう言えば、ロボットの語源「robota ロボタ」はチェコ語だったな。
ガンダムとプラハが深く結びついたことを感慨深く思い、旅の記録を終えることにする。

駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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