台湾、朝鮮、満州への日本人植民者、現地人、朝鮮人植民者の異なる立場から「皇民化政策」が考察される。

・台湾は清国より割譲されたが、抵抗する現地人の制圧・完全支配までに要した期間は20年、その間の日本軍戦死者は、実に日清戦争の戦死者数を上回る。(p70)
・悲惨なのは日本人官憲の妻となった台湾・高山族女性たちだ。高山族からは異端者、あるいは裏切者として扱われ、日本人からは"蛮族"のレッテルを貼られる。あげくは日本人の夫に捨てられた例もあるという(p73)。母子のその後の運命は想像するのも辛い。
・日本軍の軍属となった一般民衆の、同国人あるいは外国人に対する傲慢さは悲しい(p77)。
・満州への日本人「開拓団」が、既存の満州人の農地を奪い取る様子(p87)は読むのが辛い。先住民や先行する朝鮮人移民団の目も厳しい。は

全体的に「帝国主義・皇国化政策と一体化した日本人」への厳しい記述が目立つのは許容できる。しかし最終段、日本人の優越意識や大日本帝国の幻想はともかく、「八・一五以前にすでに日本人は朝鮮人・中国人民衆の前に敗北していた」(p92)との記載は実に不快だ。

植民地
【岩波講座 日本通史 第18巻 近代3】所収
著者:山田昭次、岩波書店・1994年7月発行
2015年1月19日読了