深夜のルーブル美術館。ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』、カラヴァッジョ『女占い師』、ラファエロ『美しき女庭師』、『キリストの磔刑』『ピエタ』、『岩窟の聖母』、そして『シャルル七世の戴冠式のジャンヌ・ダルク』。人類の至宝の終結したグランド・ギャラリーで、衝撃的な殺人事件は発生した。襲撃された館長が自らの最期をウィトルウィウス的人体図に模してまで伝えたかったこととは何か。正にその夜の会合をキャンセルされたロバート教授に殺人の嫌疑がかかり……。ソニエール館長の孫娘ソフィーとの謎に満ち満ちた逃避劇は、三分冊840ページを一気に読ませてくれる。

・古代宗教、テンプル騎士団、ヴァチカン市国とカソリック教会。「聖書は人の手によるもの」(p130)であり、ローマ皇帝コンスタンチヌスによる325年のニカイア公会議が人類社会にもたらした犯罪的行為は何だったのか。

・パリ、ヴェルサイユ近郊のシャトー・ヴィレット、ロンドン。一夜にして国外逃亡を図るダイナミックさには興奮させられた。

・イングランドのメロビング朝にまつわる秘密。嘘で塗り固められた「マグダラのマリア」伝説が鍵を握る。

・「聖杯」の在処を示すキーストーンの謎を巡る旅は収着を迎え、そして黒い導師が姿を現す。

ソフィーの「家族にまつわる真実の物語」が明らかになる瞬間は、予想通りとはいえ、暖かな感動を呼び起こしてくれた。

そして「聖杯」の永遠に眠るべきその意外な場所。ロバートの感動を共有でき、極上の読書感をもって本書を閉じることができた。

The DA VINCI CODE
ダ・ヴィンチ・コード(上)(中)(下)
著者:Dan Brawn、越前敏弥(訳)、角川書店・2006年6月発行
2016年10月27日読了

Dscn9534