東京オリンピックメインスタジアムに仕掛けられた爆弾の意外な起爆装置解除の条件。それは、主人公中谷に予想外の大金をもたらし、「おっさん」との奇妙な共同生活始めさせる。
空気を読むシステムの構築と、国の有する「あるビッグデータ」の入力によるブラッシュアップ。物語の基軸となるこの着想が素晴らしい。

福島の復興と原子力発電所。これらが本作の影の主役でもある。そして財務キャリア官僚、現場警察官、テレビ局員。立場の異なるそれぞれの正義がぶつかり融合する。

「おっさん」の正体が明かされてからの展開は清々しい。科学的合理性を追究し尽し、その先に見えてくるものは何であるのか、人はどう対峙すればよいのか。人生の意味とは。そんなことを考えさせてくれる傑作であった。

エアー2.0
著者:榎本憲男、小学館・2016年10月発行
2016年11月5日読了

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