まず、ゆうこ氏による装画が良い。夜に浮かび上がる女性と夜行列車――。カバーを外すと、おっと思わせる装丁もなかなか。本を持つ喜びを実感させてくれる。

鞍馬、天狗、神隠し。尾道の高台と海、津軽の雪景色と炎、奥飛騨。朝と夜。魔境――。これらの題材が見事にハーモニーを奏でる。
・どこまでも夜をさまよい、この世界の広大さを知ること。
・「ボンヤリ生きていたら……」(p114)には共感。
・個人的には第四夜『天竜峡』が気に入った。

章を追って、連作『夜行』を遺した岸田氏の謎が明かされてゆく。
第四夜まではどこまでも謎を秘め、多様な解釈が可能だ『ゴドーを待ちながら』のように、自己投影が物語をかたちづくる作品。そして最終夜の喜びへ――。
森見ワールドの奥深さを知った次第。

夜行
著者:森見登美彦、小学館・2016年10月発行
2017年1月10日読了

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