1847年~1858年にかけてディケンズが編集長を務めるHousehold Words誌などに発表された短篇8編を収録。
CRANFORD(クランフォード、女だけの町)に劣らぬ傑作ぞろいだ。

『The Sexton's Hero 墓掘り男が見た英雄』
老人の語る、ギルバート・ドーソンの英雄的行為。キリスト教的価値観。夜の干潟でのライバルの危機に際しての究極かつ壮絶な選択。心を打たれた一篇だ。

『Bessy's Troubles at Home 家庭の苦労』
入院した母に代わって家庭の一切を取り仕切ることにした15歳のベッシーは、はりきって理想の家庭を作ろうと奮闘する。工場勤めの二人の兄、学校通いの二人の兄妹、幼い妹。思うように事は運ばず、ある事件が発生し……。
気まぐれな思い付きに惑わされず、割り当てられた仕事をおろそかにしない。このプロテスタント流の教えこそ、人生の教訓か。

『The Well of Pen-Morfa ペン・モーファの泉』
小町娘と呼ばれ、婚約も決まって幸せな日々から一転、泉での怪我により半身不随となったネスト。
突如訪れた不幸。それでも人が境遇に打ち克ち、力あるうちにその生涯を閉じる。ウェールズ地方を舞台に、キリスト教的兄弟愛の壮大さに彩られたこの物語こそ、本短篇集の第一の力作だと感じた。

他に
『The Heart of John Middleton ジョン・ミドルトンの心』
『The Old Nurse's Story 婆やの話』
『The Harf-Brothers 異父兄弟』
『Lizzie Leigh リジー・リー』
『The Sins of a Father/Right at Last 終わりよければ』
を収録。

ギャスケル短篇集
著者:Elizabeth Gaskell、松岡光治(編訳)、岩波書店・2000年5月発行
2017年3月4日読了

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