近代ミステリーの原点、シャーリック・ホームズもの最後の長編小説。
危機を予告する暗号手紙を解読したホームズとワトソン。するとその場へ報じられたのは、地方の名士の惨殺事件だ。現場となったバールストン村へと出向く第一部では、ホームズの冷静な頭脳が意外な結論を導き出す。それにしてもバーカー氏とダグラス氏の友情は見事だ。
第二部はダグラス氏の手記によるアメリカでの物語。胸を突くようなどんでん返しが魅力的な、これだけで一つの探偵ものとなっている。
・溶鉱炉の白熱の炎を吐く鉱山、鉄の結束「自由民団」に半ば支配された谷あいの村、自由の国で司法組織の機能しない恐怖の谷。20年前のある出来事が、ロンドンの惨劇に結びつく。
・見えない強敵、モリアーティ教授。二人の天才の盤上での頭脳戦はすさまじい。

仲間をかばう「優しいうそ」、そして運命を自覚して抗い続けた男の潔さは美しい。ホームズとワトソンにとって辛い結末ではあるが、「決着」に向けての決意は揺るがない。

THE VALLEY OF FEAR
恐怖の谷
著者:Sir Arthur Conan Doule、延原謙(訳)、新潮社・1953年8月発行
2017年12月24日再読了
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恐怖の谷 (新潮文庫)
コナン・ドイル
新潮社
1953-08-07