男ひとり旅の美学

[旅の恥は書き捨て]ってことで。あと、BMWと読書感想文も。

カテゴリ: 映画・テレビ

先天性聴覚障がいという衝撃は、小学生クラスにとって大きい。人と違うことへの興味と、排斥への変節。いじめの連鎖と、それが破壊するもの。時が癒してくれること。そして、取り返しのつかないこと……。
母親の"耳から引きちぎられたイヤリング"は、いじめ少年に社会の残酷な現実を突きつける。

京都アニメーションの映画『聲の形』を観てきた。主人公、石田将也(イシダショウヤ)と"転校せざるをえなかった"少女、西宮硝子(ニシミヤショウコ)の手話教室での再会は、5年分のわだかまりを思い出させる。嬉しさ半分、胸奥深いところの古傷もうずく。それでも、硝子は友達になることを受け入れた。

将也。ガキ大将転じて小6からの孤立。人を見ず聞かず友人もなく5年、硝子との再会が転機になれば……。
少しの勇気。仲間も8人に増え、中盤は幸せな高校生活が続く。西宮一家にも暖かなだんらんがある。
だが、二つの断絶は突然引き起こされるのだ。

ラスト前の花火のシーンは幸福に満ち満ちている。それが直後の悲劇の前触れであるにせよ。

愛想笑いが癖になった人生? 哀しいことだ。
人を見ず、話を聞かず、殻に閉じこもった人生? 打破すべきだ。

THE SHAPE OF VOICE――。その意味が込められたラストシーンをスクリーンいっぱいに目の当たりにしたとき、思わず目頭が熱くなった。

http://koenokatachi-movie.com/

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ロンドンはHer Majesty's Theatreで2014年5月3日に鑑賞した。舞台とストーリーのすばらしさを堪能したが、いかんせん語学力不足のためにセリフを把握しきれなかった。
実は数ヶ月前に購入したブルーレイディスク「25周年記念特別公演」が未開封のままだったので、あらためて鑑賞した。(2014年6月22日、日本語2)

劇場ではないロイヤル・アルバートホールで敢行しただけあってステージは狭い。演出もマジェスティーズ・シアターのものから見直されたようで、象と「あれ」がいない。(ない、ではなく、いない。)
それを差し引いても、迫力あるステージを堪能できた。
"選択"は確かに辛いが、受け入れるしかないな。

で、本編が終了してからのサプライズがスゴイ。歴代ファントムと初代クリスティーヌの登場。そして彼らによる歌唱は、夢幻を現に蘇らせてステージを華やかに彩った。
これをリアルに観ることができたら、一生ものだったろうな。。。

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アカデミー賞外国語映画賞受賞作。少し前から気になっていたのだが、神戸で上映中であることを知り、さっそく出向いてきた。(2012年5月23日)

イスラーム法廷での審理から物語は始まる。
大学に勤めるインテリ女性が外国移住許可証を取得するも、銀行員の夫にとってアルツハイマー症の老いた父親を一人にできるわけがない。14年連れ添った夫婦の破局への道のり。
どちらも、娘の親権を放棄できるわけがない。
妻は出て行く。介護に雇われた子持ち女性の家族が、もうひとつの軸となる。別の家族の生活に入り込むことの、特に宗教道徳の尊ばれる世界での厳しさよ。

たとえ家族であっても異性の肌を見ることは許されない。コーランに"誓うこと"の重々しさとあいまって、生活に密着したシーア派イスラームの文化に、"失われた東洋の道徳"が垣間見えたような気がした。

子はかすがい、か。両親の離婚を防ぐため努力を惜しまない11歳の娘の姿が痛々しい。
父親を護るためについた嘘。その涙が、彼女を大人に近づけたと信じたい。

登場人物はみな善人なのだ。暴力に満ちた男も、大切な人を護ろうとするその愛情から見れば、まさに善人なのだ。深い愛情を誰に注ぐのか、人生につきまとう問題を突きつける名画だと思う。

・2011年イラン作品、カラー123分
・監督:アスガー・ファルハディ
・出演:レイラ・ハタミ、ペイマン・モアディ、シャハブ・ホセイニ、他

元町映画館
http://www.motoei.com/

映画『別離』公式サイト
http://www.betsuri.com/

原作者、宮本輝さんの幼少期をモチーフにしたデビュー作の映像作品だ。風情あるモノクロ写真に魅惑され、上映会に出向いてきた。(2012年4月13日)

1956年の大阪、下流近くの河岸で食堂を営む一家に育った9歳の信雄は、ある日、喜一という同い年の少年と出会う。優しい姉の銀子とも親しくなり、おかしな船に住む彼らと交流を始める。"くるわぶね"って、なんだ?
貧しくも懸命な日常と、隣り合わせの死。冒頭の馬車人夫の轢死は象徴的だ。
過酷な満州戦線とシベリアでの強制労働に耐え抜き、第二次世界大戦から生還した男たち。なのに、日常生活であっけなく命を落とす姿には痛ましいものがある。
自宅に招いた喜一が軍歌を歌うさなか、信雄の父親が遠くを見つめるシーンが印象に残った。

"もはや戦後ではない"と、世間は経済成長の波に乗り飛躍するが、取り残された者には、特に、女手ひとつで子育てをしなければならない寡婦にとっては、時代は過酷すぎる。
銀子、喜一姉弟を支える美人の母親もそうであり、その貧しさには目を背けたくなる。
「米びつに手を入れているときが一番幸せ」これは銀子のセリフ。泣けてくる。

信雄の母親と入浴する銀子は、はじめて笑う。喜一も聞いたことのない笑い声だ。小さな幸せを噛み締めるシーンには、いや、瞬きを忘れてスクリーンに見入ったなぁ。

天神祭の帰り道、信雄は喜一に誘われ、彼の家="夜の船"に乗り込む。おばさんの"声"が聞こえる。信雄は、部屋の窓から漏れる灯りに誘導され。興味本位で覗いてしまった……。
行為。"郭舟"の意味を一瞬で理解した信雄。姉弟との友情は、遠ざかってしまう。
去りゆく信雄を振り返る銀子の姿が、あまりにも哀しかった。

・1981年日本作品、モノクロ105分
・監督:小栗康平
・出演:田村高廣、藤田弓子、加賀まりこ、蟹江敬三、芦屋雁之助、他

神戸新聞松方ホール
http://www.kobe-np.co.jp/matsukata/

快晴の朝だが、不愉快な気分にさせられた。
カーネーションの次に8時15分からはじまる、あさイチ。
朝の連続テレビ小説の後、間髪入れずに番組を開始。民放へチャンネルを回させない工夫が光る。そりゃ"人気番組"になるだろうさ。
19時のニュースの前には、しつこいほどBSの宣伝をするくせに!

で、内容がひどい。たとえば10月18日は"メガ合コン"。わざわざ朝8時台のNHKで取り上げる内容か?
軽快トークを売りにしているようだが、これが実に鬱陶しい。
「28歳でーす」「だね~」等のしゃべり方。
訪問インタビューにしても、相手方に礼を欠いた姿勢もみられ、民放の視聴率稼ぎ突撃番組と変わりない。

実に不愉快だ。公共放送を前面に掲げながら、こんな番組を流して平気なのか?
はなまるマーケットのパクリ、と陰口を言われてもしかたないな。

ついでに言えば、Bizスポはワールドビジネスサテライトを模倣ではないのか。
深夜番組に至っては……下卑た二流お笑いが"公共放送"? 痛々しい。

東日本大震災発生当時の、他局を引き離すモラルの利いた質の高い報道が、影に隠れて薄れてしまう……。
素晴らしい特集番組とキャスターを誇るNHKなんだから、矜持を正して欲しいぞ。

いまごろになって鑑賞した。評判は二分しているが、僕は「あり」だと思う。古代進38歳の声は合っているでしょう。設定も現代風で良いと思う。ただし古代雪(森雪)の声はピンとこないし、移民船団の護衛艦がすべて戦艦クラスってのはありえないでしょう。

幼少の時に観た第一作(イスカンダル!)からの普遍のテーマ、いや、魂は、変わらずに存在していると思う。

続編を希望! なんですが、プロデューサーの西崎さんが亡くなられたそうで、ご冥福をお祈りします。

「宇宙戦艦ヤマト」プロデューサー、西崎さんが船から転落死
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101107-00000561-san-ent

宇宙戦艦ヤマト オフィシャル コミュニティ ヤマトクルー
http://www.yamatocrew.jp/

Blu-rayディスクを購入しようかな?

KEN-Vi 名画サロン第52回上映作品。内容は知らないが、ヴィクトリアン関連で興味が沸いたので鑑賞した。(2010年10月8日)

一言で表現するなら、ヴィクトリア公女/女王とドイツ・アルバート公子のロマンス、となる。一般国民と宮廷の狭間に立ち、理想と現実の乖離と自分たちの力量不足に苦悩する政治劇の側面を期待したのだが、少し違った。
二人の出会いと結婚、第一子を設けるまでの時代設定は不満だ。ヴィクトリア時代の最大イベントであり、アルバート公の才能が存分に発揮された第1回万国博覧会の開催まで続けて欲しかった。

ただ、外部からの視点=アルバートから見て英国宮廷のバカげたしきたりを次々と廃止、改革したことが盛り込まれたことは評価できる。女王の頭越しに内閣府と協議を進め、ヴィクトリアとの夫婦喧嘩を生じさせたエピソードも面白い。

政権変更にかかわらず、自由党の前首相メルボルンにベッタリで、保守党の首相ピールの言に耳を貸さないエピソードは史実通りだろう。議会での分狂の様子の面白かった。

ウェリントン公爵の存命中にヴィクトリアが即位したとは知らなかった。

アルバート公の肩書きは「女王の夫」であり、王国の公的な地位に就任しなかったらしい。それでもヴィクトリア時代に欠かせない存在だったはずであり、その聡明な側面をキチンと映像に表してほしかった。

女王に即位して間もない頃、民衆の生活改善を模索するも、メルボルンから必要なしと言われて若いヴィクトリアは黙り込む。数年後、民衆と国家の現状を知って改革を進めるべしとのアルバートの力強い意見に共鳴し、今度こそ自立した「君主」として統治に立ち向かうヴィクトリアの姿を描いたのは、まぁ評価できるか。

2009年英国・米国合作、102分。
監督はジャン=マルク・ヴァレ、主演はエミリー・ブラント、ルパート・フレンド。

映画『ヴィクトリア女王 世紀の愛』公式サイト
http://victoria.gaga.ne.jp/

兵庫県立美術館
http://www.artm.pref.hyogo.jp/index.html

NPO神戸100年映画祭
http://www5e.biglobe.ne.jp/~kff100/

2010年7月25日、夜7時のニュースを見た。
なんなんだ、これは?
・ヘリコプター墜落事故と相撲名古屋場所千秋楽の2本で、15分を浪費する。
・白鳳優勝。それは良いのだが、「年6場所になってから云々の快挙」であることを、30分の間に3回も繰り返す。そもそも、相撲にこれだけ時間を割くのはNHKだけだ。
・学者先生が死亡したらしい。ご愁傷様です。
・岐阜県多治見で38.1℃。うん、暑いねぇ。
・建設業界の決起集会。参加者の声を紹介するのは良いが、不況にあえいでいるのは彼らだけなのか? 「政府が面倒をみるべきだ」って、アホか!
・土用の丑の日。国産ウナギが高騰。インドネシア養殖ウナギ。名前の出された一企業にとっては、スゴイ宣伝になるな!

実に平和な世の中だ。
ところで、ニュースはこれだけか?

・米韓合同演習は? 海上自衛隊員のオブザーバ参加のことは? 集団的自衛権との関係は?
・スイス鉄道事故の続報は? 日本人の死傷者多数なのに。
・とっくに死刑に処されるべき北朝鮮テロリストをヘリ遊覧させるなど厚遇し、その批判に対する国家公安委員長の「素晴らしい」弁解のことは?
・政権運営は?
・円高は?
・潜水艦16隻体制から20隻体制への防衛大綱改定の話は?
・日本列島の大動脈、新幹線保守工事中の事故のことは?

ニュースソースをNHKと新聞紙に限定された地方のお年寄りに、偏った認識を持たせはしないか?

他にも言いたいぞ。
追跡、AtoZってなんだ? 昔のプロジェクトXの栄光を引きずっても仕方ないだろう。
お笑い芸能人の低俗な番組が多数放送されているが、こんな下らない番組のために受信料を払った覚えはないぞ!
ポケっとNHKだけ見ていると、まさに痴呆症になるな!

通信と放送の融合が語られて久しいが、NHKは「特別な地位」を特権と勘違いし、いまの体制を温存するのだろうな。だからデジタル放送の推進に固執する。
こんなので良いのか? 「クローズアップ現代」のような骨のある番組を増やす等、自ら改善する意志はないのだろうか?

Yahoo!ホームペ-ジのほうがよっぽど有効だ。

ロンドン&ダブリン旅行へ向かう途中、関西国際空港発アムステルダム行きの機内で鑑賞した。(2010年4月30日)

エコノミーシートのLCDモニタ(6インチサイズ?)と簡易ヘッドフォンは映画鑑賞には向かないが仕方がない。また、多言語対応の制約からか、日本語音声版には中国語の翻訳テロップが入る。(じゃまなんですが。)
なるほど、ワトソン医師は「華生」なのか。

ホームズと言えば、愛用のパイプを片手に頭脳を駆使する紳士探偵。そのイメージは地下鉄ベーカー街駅前に立つブロンズ像でも見て取れる。でも、この映画のホームズは「武闘派」で、しかも頭脳明晰との斬新な設定だ。
ヒロイン(アイリーン)は無理に登場させた間が否めないが、エンターテイメントとしてはありだな。

英国教会に主導権を奪われるも活動を続けている修道会。その黒魔術を思わせる仕掛けは、科学技術の結晶であり、終盤の「"世界初の化学兵器"による国会議員の皆殺し」作戦に向けて場は盛り上がってゆく。

面白かった。ホームズがあのようなユーモアを有する人物とは思えないが、まぁいいだろう。

19世紀中葉のロンドンの街並みや民衆の生活も興味深い。
まだ建築途上のタワー・ブリッジで、最後のバトルが繰り広げられるのも面白い。
ワトソンとホームズの「絆」も良い。
だが、モリアーティ教授を最後の黒幕に登場させたのは「次」を狙っているのだろうか。(ないだろうけど。) 否、原作に敬意を払ったのだろうな。

http://wwws.warnerbros.co.jp/sherlock/

よし、二度目のロンドン訪問に向け、いいタイミングで鑑賞できたぞ。

ロンドン旅行からの帰路、パリ発関西国際空港行きの機内で鑑賞した。(2010年3月13日)

SFX(死語か)はさすがだ。NHKのクローズアップ現代で観たが、この特殊効果映像を制作したのは若い日本人らしく、誇りに思える。

自然災害に立ち向かう若い地質学者は、一方でヒューマニストだ。アメリカ大統領の言葉「若い科学者は年老いた20人の政治家に勝る」は、その通りか。

大統領首席補佐官は最初は良い感じだったのに、中盤「箱船」のあたりからエゴが顕わになった。彼は排斥される運命にあるが、実は誰もが持つ願望であるだけに、辛いものを感じた。

ハードなSF設定と「家族」を巡るドラマの両立。ラストはありきたりだが、まぁ良作だろう。
しかし、日本は完全に水没か。ハリウッド制作だから仕方ないが、悲しいものがあるな。

エールフランス機のビジネスシートに備え付けのLCDモニタは、まだ10.4インチサイズ。映画鑑賞には迫力不足だった。数年後に大画面+ブルーレイで再鑑賞しよう。

http://bd-dvd.sonypictures.jp/2012/

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