男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

旅行・地域

ベル・エポック期にアール・ヌーヴォー・スタイルをつくりあげた代表的なアーティストの一人、アルフォンス・ミュシャ。本展示会は彼がデザインしたポスター、装飾パネル、はがき、切手、紙幣、ビスケット缶などの商品パッケージ、香水瓶ラベル、デザインを学ぶ学生の教本として出版された「装飾資料集」「装飾人物集」など500点の作品によって構成されるとある。
期待を込めて六甲アイランドの中心部、神戸ベイシェラトン・ホテルの隣に位置する神戸ファッション美術館を訪問した(2021.11.24)。
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平日だったから空いている。スムーズに入館できたのは良いが、写真撮影は一点のみOKなので、少し残念。
・やはり「MONACO MONTE-CARLO」が良い。色彩の豊かさと構図がとても好きだ。
・今回はOGATAコレクションから多数出品されていて、商品パッケージ、ポスターなど初めて目にする作品が何点か見られた。これだけでも足を運んだ甲斐があったと思う。図録を買うべきだったか……。
・なお、500点の展示のうちには「装飾資料集」「装飾人物集」の膨大な内容が含まれるので、感覚的には全部で100点程度の展示だと思う。

「GISMONDA」、良いなぁ。
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美は細部に宿る。
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個人的には、神戸を代表するブランド各社の協賛を得て同時開催された「神戸・まちのファッションの現在形」が良かったように思う。ナポレオン一世や乾隆帝が神戸を訪問したら……とのシチュエーションも楽しいし、神戸松蔭女子学院大学、神戸芸術工科大学、神戸ファッション専門学校、神戸文化服装学院の展示も見ごたえがあった。
せめてこっちは写真撮影の許可を出してほしかったなぁ。

今回使用したカメラ機材は次の通り。
・カメラはSONY α7RⅣ
・レンズはSONY SEL50F12GM(F1.2/50mm単焦点)

芸術に触れるのは小さな非日常。また来よう。

神戸ファッション美術館
特別展「アール・ヌーヴォーの華 アルフォンス・ミュシャ展」
ドレスコレクション展「神戸・まちのファッションの現在形」

はじめての海外ひとり旅はニューヨークを選び、その際に訪れたメトロポリタン美術館(MET)の展示の量と質に「圧倒」されたことを、四半世紀を経た今でも憶えている。現在メトロポリタン美術館は改造工事のために休館中のため、150万点を誇る所蔵美術品の中からヨーロッパ絵画に的を絞り、日本初公開46点を含む全65点の展示が実現したそうな。
今回は初日に訪れることができた。
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事前予約制(時間帯指定の前払い)でスムーズに入館できたのは良いが、写真撮影は全面的に禁止とのことで少し残念。
まぁ、宗教絵画、ルネッサンス、近代絵画がバランスよくセレクトされているので良しとしよう。
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今回の展示会でのお気に入りは次の2点だ。
・まずは、かつて本国METで発行された「メトロポリタン美術館ガイド」(日本語版)の表紙を飾った『Mezzetin メズタン』だ。恋に報われることのない使用人が、今日もあの女性を想って楽器を爪弾いて唄う……同じ男として同情しますとも!
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・もう一点の『信仰の寓意』は日本初公開のフェルメール作品の一点となる。解説によると地球儀を踏みつける女性は教会の権威を、蛇の死体は悪意の征服を示すそうな。なんにせよ色彩と構図が気に入った。
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今回使用したカメラ機材は次の通り。
・カメラはSONY α7RⅣ
・レンズはSONY SEL24F14GM(F1.4/24mm単焦点)
軽さは正義です。

芸術に触れるのは小さな非日常。今度はニューヨークのMETへ行こう!

メトロポリタン美術館展-西洋絵画の500年-

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FE 24mm F1.4 GM
ソニー(SONY)



神戸は御影にある白鶴美術館「中国青銅器-円と方の協調美-」展を鑑賞すると、通常非公開の「旧乾邸」に御招待というので、晴天の下、出向いてきた。(2021年10月28日)

もよりの阪急御影駅に到着するも、美術館方面へのバスがない? タクシーで出向くことに……。
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地元の方によると「今日から急に観覧者が増えた。何があるんだろう?」とのこと。それはね、みなさん「旧乾邸」目当てなんですよ。

■白鶴美術館・本館
「中国青銅器-円と方の協調美-」展
ここは建物そのものが美術品といえ、細部に施主と建築家のこだわりが感じられた。
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個人的には渡り廊下と、この階段周りが気に入った。
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1階の展示室、特にその天井は素晴らしい造り(折上格天井)なのだが、撮影は許可されなかった……。
展示物こそ撮影できないが、饕餮夔龍文方卣(とうてつきりゅうもんほうゆう:重要文化財)など、古代中国の貴重な青銅器を鑑賞できたので、良し!

■白鶴美術館・新館
「アナトリア・コーカサスの絨毯 -多様なメダリオン-」展
19世紀~20世紀初頭に制作されたアルメニア、トルコの高級じゅうたんを展示。こういうのも良いな。
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■旧乾邸
白鶴美術館・新館から徒歩3分の場所にその邸宅跡はある。並ぶこと約10分。13時少し前に開門され、僕は9番目に入場できた。
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車寄せ(?)のデザインに圧倒された。
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吹き抜けの応接室には南向きの巨大な窓から日光さんさんと入り、階段、壁面等の意匠、調達品をみるだけで時間がたつのを忘れてしまうほど。いや、本当に素晴らしい!
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2階への階段を上ると、バルコニー状に突き出した部分が目に飛び込む。そしてこの天井! 憎らしい設計だ。
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美は細部に宿る。
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本当、次の公開日が待ち遠しくなるな。
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今回使用したカメラ機材は次の通り。
・カメラはSONY α7C
・レンズは2本。軽さは正義だと実感した。
 SONY SEL14F18GM(F1.8/14mm単焦点)→ほとんどこれ一本で撮影
 SONY SEL40F25G(F2.5/40mm単焦点)
うん、建築物の撮影は超広角レンズに限るな。

芸術に触れるのは小さな非日常。次回もまた来よう。

白鶴美術館
https://www.hakutsuru-museum.org/museum/
旧乾邸
https://www.city.kobe.lg.jp/a44881/kanko/bunka/bunkazai/estate/bunkazai/syokai/kyuuinuitei.html



ベルマージュ堺弐番館の二階に位置する小規模な美術館、堺アルフォンス・ミュシャ館へは1年ぶりの訪問となる。明石から大阪・堺まで出向いてきた。
(2021年10月23日)
1900年パリ万国博覧会をモチーフに、会場をグラン・パレ、プティ・パレに見立て「ミュシャのマルチなアート・ワークをジャンルごとに大公開」とある。期待できそうだ。
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■グラン・パレ
油絵、各種デッサン、作品のための下絵などを展示。1900年パリ万博でのチェコ館のポスターが印象的だ。どちらかと言えばチェコ時代のミュシャの側面強し。
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■プティ・パレ
こちらは実に華やか! リソグラフ・ポスター『椿姫』『ロレンザッチオ』や『四つの宝石』『一日の四つの時』『四芸術』などの連作、サラ・ベルナールのための宝飾品『蛇のブレスレッドと指輪』、著書『装飾資料集』抜粋、等々。彼の手になる彫刻『ラ・ナチュール』もなかなか。

■未来館
世紀末を超えて、1935年頃までの商業ポスターを展示。ジョルジュ・バルビエ、レオナール・フジタ等々。これは良かった。
また、現代の情報技術を活用したミュシャ作品の映像コンテンツが大々的に紹介されていたが、これはいいや。
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『四つの花』
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さりげなく展示された『桜草』も良いな。
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芸術に触れるのは小さな非日常。次回もまた来よう。

最終日ということなので、神戸から大阪・堺まで出向いてきた。
(2020年11月8日)
ベルマージュ堺弐番館の二階に位置する小規模な美術館だから、建物に価値は見いだせない。その分、展示物で勝負なのに、写真撮影が許可されないのは日本の美術館の悪しき風潮だな。
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■修業時代
ミュンヘンでの修業時代。ノルマをこなすだけでは上達は見込めない。ミュシャの「一日16時間働いてなんぼ」とのセリフが印象に残った。その成果あって印刷物の挿絵の仕事を得るが、ブレークする前の静かな印象だ。

■パリでの活躍
サラ・ベルナールのポスター「ジスモンダ」を突貫工事で仕上げたことから、派手なパリ・デビューとなる。『椿姫』『メディア』の本物など、アール・ヌーヴォー全盛期の華やかなパリ時代のミュシャ作品最もミュシャらしい作品群が展示されていた。
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■新たなる道へ
1900年パリ万博。ベル・エポック華やかなりし頃の雰囲気を少しはつかめたかな?
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■祖国に帰って
さすがにスラヴ叙事詩は小さなパネルでの解説だけだった。

芸術に触れるのは小さな非日常。次回もまた来たい。
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神戸市と淡路島とを結ぶ明石海峡大橋。世界最長を誇るこの吊り橋は、1998年に開通し、いまも地域の大動脈として機能している。
何を隠そう、僕は開通2~3日前にこの橋を車で渡ったことがあるのだ(仕事の関係です)。
それはともかく、快晴なので明石海峡大橋(神戸側)のふもとを散歩してきた(2020.2.11)。https://hyogo-maikopark.jp/facility/f01/#ad-image-0
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■橋の科学館
内部の展示ははっきり言って技術寄り。橋梁技術に強い方は興奮するに違いない。
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■舞子海上プロムナード

明石海峡大橋のアンカレイジ内を経由し、橋の直下を少し歩くことができる。
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■孫文記念館
孫文。あまりにも偉大な「アジア最初の共和国の父」である彼の生涯とその中国と日本における足跡、日本の華僑を紹介する展示館。地元に住んでいながら、実は訪れるのはこれが初めてなのだ……。

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「巨大技術」は人類の英知の結晶。また散歩しにこよう。
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岡山県は新見美術館へ出向いてきた。(2019/8/24)
お気に入りの作家の展覧会のためなら、片道2.5時間の移動時間もなんてことない。
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「全作品写真撮影O.K.」って、他の美術館も見習ってほしいなぁ。
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お気に入りを何点か。
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アイリーン・アドラーとホームズなんです。
ラフ画等も展示あり。
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全部鑑賞するのに1時間もかからない、小規模な展示会だった。美術館自体が小さいからか。
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本当に、この雅でレトロモダンな感覚がたまりませんっ!
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お土産もいっぱい買ってしまった。

芸術に触れるのは小さな非日常。空間とともに楽しむのが吉だな。

『-胡蝶之夢- マツオヒロミ展』
新見美術館、9月16日まで。

1928年(昭和三年)発行の日本郵船『渡欧案内』と『欧州大陸旅行日程』を買ってみた。
当時の金満家が鼻高々に「ちょっと欧州迄」と言い放つ気分? いや、貧乏新進芸術家が身一つでパリへ渡る気分で眺めてみる。
B6サイズは携帯には便利だが、文字と地図が見にくい。やはりA4サイズくらいはないとなぁ。
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・ベデカーやマレー以外にまともな旅行案内書のなかった時代、邦文のガイドブックなど皆無。『渡欧案内』には乗船経路、使用船舶その航海日程と距離、乗船運賃、旅券、旅の服装・携帯品、乗客のための内地鉄道無料乗車券、寄港地案内、注意事項、保険案内等が細かく書かれ、旅行者にとっては必携品だったろう。
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・記述の半分を占めるは「寄港地案内」だ。上海、香港、シンガポール(マレー半島のゴム栽培は見る価値ありとある)、マラッカ、ペナン島、コロンボ、アラビア海、アデン、紅海、スエズ運河(カイロ観光)、ポートサイード、地中海、ナポリ、カプリ島、マルセーユ、ジブラルタルとビスケー湾、そしてロンドン。博物館などの観光地、ホテル案内、食事、歴史、気候、風習、現地通貨、郵便電信料金など、いま読んでも実に興味深い内容となっている。
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・巻末の航路図はみていて楽しい。
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・『欧州大陸旅行日程』は、ロンドンまたはマルセーユで下船した旅客が欧州各国を歴訪するための30日~150日での漫遊(と書いてある)日程について、合わせて8つのプランを示している。例えば30日間の場合だとロンドン発、ブリュッセル~ハーグ~アムステルダム~ベルリン~ローザンヌ~ミラノ~ヴェニス~フロレンス~ネープルス~ローマ~ミラノ~ベルン~ジュネーブ~パリと周り、ロンドンへ戻って船で帰国する。この場合の旅費は一等28ポンド、二等19ポンドとあるが、これだけじゃ心もとない。汽車の具体的な時間などは駅で訊けってことか。

当時は神戸からマルセーユまで42日、ロンドンまで50日かかる時代だ。豪華客船での優雅な船旅は、さぞかし良かったんだろうなぁ(一等船客、二等船客に限られる。貧乏新進芸術家なら三等・船底で地獄の旅か……)。

明治開闢以来の150年間、外国人は何を求め、日本人は何を披露したがったか。その「魅力のギャップ」と外国人の「再発見」を含めて日本観光の近現代史を俯瞰し、今後の観光立国を考える一冊。
・幕末から外国人が愛した「古き良き日本」の姿は、明治中期に急速に失われてゆく。富国強兵なのだから仕方ないが、他に方法はなかったのかと今では思う。
・明治期の二大外国人別荘地、日光、箱根の開発に際しては地元民間人の志の高さが目立つ。「日本人ではなく外国人から金をとる」と言い切るホテル経営者がいれば、自分たちで道路建設を行い、当時無きに等しかった水力発電所や火力発電施設まで自前で整備したのか(p94)。
・吉原遊郭の記述に関しては日本側の視点(『公認東亜案内』)、アメリカ人の視点(『テリーの日本帝国案内』)、現在の視点(『ミシュランガイドJAPAN』)それぞれに違いがあり、なかなか興味深い(p140)。
・いまでいう観光立国、クールジャパンの推進に政府が乗り出したのは1930年(国際観光局」設立)とかなり遅かったんだな(p163)。
・昭和12年の時点で「訪日外国人のリピーターに何を見せるか、あるいは体験させるか」「湘南に外国人向けカジノを設けるべし」等の有識者見解が飛び出し、まるで昨今の観光立国政策をみているようだ(p186)。歴史は繰り返す?
・O・MO・TE・NA・SHI。金谷ホテルのサービスが例として挙げられるが、確かに外国人に感動を与える親切さだ(p188)。
・第8章「現代の観光立国事情」には、増え続ける外国人旅行者とその趣味趣向(人気スポット)の分析が行われ、今後の打ち手が明確に提案される。国ごとに異なる人気度、訪問率(広島平和記念資料館等が顕著)、観光地としての魅力(気候と治安、文化・歴史、食、「自然」:p244)、外国人の考える「日本食」を踏まえての泊食分離、江戸城〇〇計画、日本人として観られること、観光公害への対応、マーケティング戦略等、観光立国・日本の実現に向けての多大なヒントが述べられる。

「日本人が外国に見せたいもの」と「外国人が日本を深く識るために見たいもの」のギャップは、明治の世から現代まで確かに存在する。また外国人旅行者の増大に伴って、日本人が知らなかった日本の良さを外国人が発見する事例(遠くは軽井沢、近年では佐賀)も増えるだろう。僕もときおり街で外国人旅行者を見かけるが、もし請われたら「相手の興味」に寄り添って、わが日本を案内するようにしよう。

外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史
著者:内田宗治、中央公論新社・2018年10月発行

「貴重な肉筆画や木版画をはじめとして、装幀本や千代紙など、画家としてはもちろん、デザイナーとしての夢二の力量が伝わる作品の数々をご紹介」ということなので、休日を利用して観に行ってきた。
(2019/1/26)

お気に入りを何点か。昨今の流れに従い、一部は写真撮影が許可されていた。良い流れだと思う。

『エイプリル・フール』(大正15年)
花束を持参した紳士をいまにもたぶらかしそうな美女。夢二作品で一番好きだ。
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『夢二画集「旅の巻」カバー』(明治43年)
明治期にこんなポップな絵を描いていたなんて。
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『花のたよりの文つかひ』(大正2年)
いわゆる美人画だけでなく、児童画でも才能を発揮した夢二。お気に入りの一品だ。
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『コドモノクニ』表紙画など(大正12年)
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『スプリング』(大正13年)
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『少女一二ヶ月双六』(昭和3年)
当時の世相が表れていておもしろい。
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夢二の写真作品も多数展示。愛用のカメラも(ベスト・ポケット・コダック。同型品)。
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婦人グラフ、一冊ほしいなぁ。
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芸術に触れるのは小さな非日常。空間とともに楽しむのが吉だな。

『大正浪漫 グラフィックデザイナーの原点 竹久夢二展』展
明石市立文化博物館、2月3日まで。
http://www.akashibunpaku.com/
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