男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

旅行・地域

フランスはナンシー地方、ガレで有名なガラス工芸。1855年のパリ万国博覧会で高級クリスタルガラス芸術としての代表格の地位を得たバカラ。そのテーブルウェアを中心とした展覧会が神戸元町の大丸で開催されている。元町・三宮方面へ足を延ばしたついでに寄ってみた。(2011年5月6日)

・ワイングラスを中心に、香水入れ、蓋付き小物入れ、装飾壺など、大小様々なクリスタルガラス製品が約50点。すべてが19世紀中葉から20世紀初頭にかけて製造されたアンティーク= Old Baccarat オールド・バカラで、どれも価値のある芸術品だ。中には一見、陶磁器と見間違うような乳白色のガラス壺なんてのもある。

・ワインボトルの未成熟な時代。赤や青に彩られた細長い容器=カラフにワインを詰め、テーブルに供されたと言う。そのワインの注がれるグラスも様々な種類があり、フランスの誇る赤ワインは透明のグラスに、ドイツ産の白ワインは、赤や青に彩られたグラスに注ぐ、と。自他共に認める食文化を誇るフランス人としては、"あのゲルマン民族"の飲み物を一段低い地位に置き、フランス芸術の精華に包みながら飲用するということか。

・ビール専用のグラスも展示されていた。これが、通常見慣れたビアジョッキとは大いに形状が異なるのだ。
ドイツ人と同じスタイルで飲むと言う行為などは、フランス人のプライドが許さないらしく、これもオリジナルなグラスが考案されたらしい。

・ガレ、ドーム兄弟のガラス工芸品もそうだったが、草植物の図柄などに、ジャポニスムの影響が見え隠れする。思わず嬉しくなる。

・紫色ガラスの花瓶は初めて見た。展示会場でも2点しかなく、これらは珍しい部類に入るそうだ。

で、ここの展示品はすべて販売されている。安価なモノは200,000円~。手が届きそうだ。

係員の若い女性(大西さん)による懇切かつ丁寧な解説のおかげで、興味深く鑑賞することができた。ありがとうございました。

……パリのBaccarat Galerie-Musee バカラ美術館に行きたくなってきたな!

大丸神戸店 7階アートギャラリー
http://www.daimaru.co.jp/kobe/index.html
2011年5月10日まで!

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世紀末文化の香りがプンプン。少し遠いけれど(JR阪急電車乗り継ぎで70分)、鑑賞して正解だったぞ!(2011年4月26日)
伊丹市立美術館は初めてだ……この酒蔵のような建物がそうか!

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特設展示会場は2階と地下に分かれ、多数の絵画、ポスター、出版物により新進芸術家と商業主義の融合による一大歓楽地の姿を再現する試みだ。

ベル・エポックの最盛期に出現したのが、前衛芸術とカフェと出版の融合だ。1851年にパリ・モンマルトルの地に開店した"シャ・ノワール(黒猫)"は、一種の革命だったんだとわかる、

観客500人から1500人を収容できるカフェ・コンセールで、ダンスや演劇、コンサートが盛んに催され、世の紳士淑女を虜にし、新進作家、作曲家、サーカス団や大道芸人が腕を競い合った。で、このカフェ・コンセールはモンマルトル地区を中心に350件も建てられたという。

で、印象強く引きつけられた作品は……
・ピエール・ヴィダル『"モンマルトルの生活"の表紙』(作品55、1897年リトグラフ)
cover for La Vie a Montmartre
モンマルトルの自由を謳歌する文化人の喜びに溢れた、パリ上空でのライン・ダンス。
アリスティド・ブリュアンの"黒帽子に赤いスカーフ"は目立つなぁ。

・ルイ・ルグラン『ギター奏者』(作品101、1895年水彩・木炭)
GUITAR PLAYER
淡いグリーンの装飾の店内で楽しげに歌うギターウーマン。飲み屋の流しの雰囲気いっぱい。聴衆の態度に関係なく、自分の歌を披露することへの満足感が見られるな。
人生を謳歌する女性は美しい。

・ルイ・ルグラン『プライベート・バー』(作品101、1905年水彩)
PRIVATE BAR
店内の奥のボックス席でカクテルを飲み干し、黒人のホスト(?)の語りかけを扇子を揺らしながら耳にする女性。若い少女にも見える。その視線は店内にあり、意中の人物を気にしているのだろうか。更けゆく夜の一こま。画になる。

・ジョルジュ・ルルー『万国博覧会「光学館」-1900年の大望遠鏡のポスター』(作品125、1900年リトグラフ)
poster for PALAIS DE L'OPTIQUE, LA GRANDE LUNETTE DE 1900
人類の叡智の象徴とも言える"光の玉"を手に、女神が1900年パリ万博会場の一つ"光学館"を見下ろす構図。科学技術の発展の矛先が宇宙に延び、無限の可能性が感じられるポスターだ。

カフェ・コンセールや劇場のプログラム・メニューも展示されていた。印刷技術の粋を凝らした色鮮やかなパンフを手にするだけで楽しみだったんだろうな。

あちこちにジャポニスムの影響の強さを感じた。パリの小劇場に大々的に吊り下げられる多数の"赤ちょうちん"は、ミスマッチ感覚が新鮮だ。和扇子も面白い。
影絵芝居の『聖アントワーヌの誘惑』の一幕、『日本の神々』も強烈だ。風神・雷神、神話時代の女神、荒れる波、どろどろとした雲、富士山らしき背景。切り絵のような表現。北斎と光琳の影響と書かれている。

シャ・ノワールの3階で上演され、絶大な人気を博した影絵芝居が舞台装置ともども再現されていた。
土人の引くアフリカ象が地表に"真珠"を垂れ、そこに草花が生える。ただそれだけの映像に、音楽と口述が合体した"総合芸術"って?
いくら初公演で好評を得た記念碑的作品でも、現代日本でスカトロチックな芝居の再現はちょっと、なぁ……。

展示点数は中規模といったところだが、内容は実に濃い。もう一度行きたくなった。

伊丹市立美術館
陶酔のパリ・モンマルトル1880 - 1910
~シャ・ノワールをめぐるキャバレー文化と芸術家たち~
http://www.artmuseum-itami.jp/2011_H23/11chatnoir.html

2011年6月5日まで。ぜひ行くべし!

The British Museumには2010年の3月と5月に出向いたが、"ギリシャ"を中心に鑑賞したわけではない。どうしてもロゼッタストーンや古代エジプト王朝の遺跡に目が向いてしまう。
で、この『古代ギリシャ展』は、2012年のロンドン・オリンピックに向けてEU、アジア、アメリカ大陸にて開催されているそうな。まだまだ千秋楽(?)まで余裕はあるが、神戸方面へ出向いたついでに鑑賞してきた。(2011年4月1日)

『円盤投げ』(ディスコボロス)(作品58)
Marble statue of a discus thrower (diskobolos)
日本初公開だそうで、特別のブースに展示。360度眺めることの出来る展示は素晴らしい。
右足全体に力を込め、いっぱいに伸ばした筋骨たくましい全身は、まさに芸術だ。右腕の血管の浮き上がる様子まで再現されている。
現物は帝政ローマ時代のコピーらしく、ティボリはハドリアヌス帝の別荘で発見されたとのこと。(コピーは2体。もう一体はヴァチカン美術館。)
なお、オリジナルの行方が気になるが、キリスト教・イスラム教時代に「異教徒の作品」と断定され、破壊されたらしい。
そういえば、東日本大震災のどさくさで官房副長官に就任した人("尖閣"官房長官ね)の大好きな中共の"文化大革命"でも、価値ある歴史文化財の大量破壊が行われたな。ろくでもない!

・ギリシャにおいて、外見上の肉体の完璧さは、内面の道徳的な正しさを反映するとされ、アスリートは特別の意味を持つ。
・女神役の女性一人を例外とし、オリンピアの参加者はギリシャ市民権を持つ男性のみ。すべての競技は全裸(フリ○ン)で行われたんだな。

『コリントス式兜』(作品86)
Bronze helmet of Corinthian type
ギリシャ世界(ローマも)では市民権は兵役義務を伴うものであり、その費用は自前だ。貴族や金持ちはエリートの騎馬隊に参加し、貧乏人は艦隊の船漕ぎの任に就く。大多数を占める中間層の市民は、槍と大型盾、鎧等で武装し、軍団の中心である重装歩兵として参戦する。このヘルメットは重装歩兵が着用するブロンズ製のフルヘルメットで、紀元前510年頃にイタリア半島南部で出土されたものだ。
このヘルメットを被ることにより、個々人の個性は覆い隠され、軍団の一歩兵となるわけか。都市国家間の生死を賭けた戦争では、個人の自由はなく、共同体の利益が最優先される。当然のことか。

『赤像式アンフォラ:出征する兵士』(作品84)
Red-figured amphora
紀元前510年頃にアテネで制作されたものだ。
参戦しようとする重装歩兵の若者と祝福する女神が描かれ、その隣で父親が複雑な表情を浮かべている。1944年頃の日本の地方都市で、若い兵士の送り出される場面が想像される。万歳!を連呼する地域の人々と、送り出す(複雑な思いの)家族。この構図は古今東西で普遍のものってことだな。

『シレノス小像』(作品127)
Bronze figure of Seilenos
太鼓腹のよっぱらい男。およそローマ市民のイメージと異なる彼は、自制心の欠如した堕落した人物と評される。理想のローマ市民(筋骨たくましい肉体を有し、かつ知性的)と対照的な人物として3世紀頃に制作された。
……自分の"メタボなお腹"を再認識し、とても悲しくなった。

『走る少女の小像』(作品39)
Bronze figure of a running girl
競技に参加するのは当時のギリシャ男性の特権だが、スパルタでは違った。
膝上の短いスカートを履き、上半身も右肩から豊かな胸を顕わにし、短距離走(中距離走?)に参加する。
兵士ではないが、女性もスポーツに積極的に参加したことが、この作品に表れている。

『アフロディテ像』(作品43)
Parian marble statue of Aphrodite
数少ないギリシャ女性をモデルにした等身大の像が、このヴィーナス像だ。素晴らしいスタイルには賞賛を送りたい。至高の芸術作品だと思いたいが、現実は……。
(解説パネルによると、入浴しようとする女性を"覗き見る"イメージで、街中の神殿に設置されたとか。いまなら抗議の声がネット上で吹き荒れるだろうな。)

『役者の小像』(作品132)
Terracotta figure of an actor
当然のことだが、ギリシャ、ローマ世界に暮らすは筋骨たくましい典型的な"ローマ市民"だけではない。なんらかの理由でハンディキャップを持つ人々も当然、毎日を生きていかねばならない。
社会的地位の低い"喜劇俳優"として訓練を重ね、わずかなギャラを芝居と踊りの報酬として受け取る。あるいは"拳闘士"として、金持ちの宴席の余興を血で彩るか。
いずれにせよ、限られた職業で生きる彼等の姿が芸術作品として残されていたことは、ひとつの意義でもあるのだろう。

・で、"男と男"……。
当時の芸術作品にも残っていることから、ギリシャでは"男女間の愛"は大事にされず、「壮年の男が主導権を取り、若い男子を恋の相手とする」ことが容認、いや、推奨されていたんだな……。なるほど、キリスト教から見たら"異端"だわ。いやはや、なんとも。

神戸市立博物館:古代ギリシャ展
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/museum/tokuten/2010_05greek.html
2011年6月12日まで!

NHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』を観ていますか? このファンタジー演出溢れる歴史ドラマの中でも、大舞台俳優、市村正親さんの凄味あふれる演技により、その魅力を倍増させられたのが、明智光秀だと僕は思う。彼が初代城主として君臨し、明治2年まで実存した京都府は福知山城に出向いてきた。(2011年3月28日)

現存する天守閣は、昭和に再建されたものだ。この天守閣のデザインは天正期のものらしく、姫路城や大坂城とはまた異なる、実に味わい深いものがある。

内部は四層。1Fと2Fは郷土資料館として、福知山城の成立と廃城までの歴史等が絵画、書物、甲冑、模型等で展示されるとともに、縄文・弥生時代の福知山地方の集落の様子と文化財が展示される。

3Fと4Fは展望台だが、狭い。南面の展望だけが3Fで、他は4F。このアンバランスな点だけはいただけない。なんで4Fの南面の最高の場所に"寄付者のリスト"なんてデカデカと展示するのかなぁ~???
(まぁスポンサー様だけど、それなら納税者全員のリストを掲載するべきだろう。)

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今回で19回目なのは結構だが、展示エリアが少ない感じがするなぁ。(2011年3月8日)

1920年代の明石市は明石川の東側までが境で、戦後に明石郡大久保町・魚住町、加古郡二見町と合併して、いまの明石市の姿になったのか。なるほど。

1920年代の生活の品々。ダイニングキッチンなんてものはなく、台所は"土間"だ。かまどと大きな鍋、炊飯用の釜、おひつ。氷保管庫もある。洗濯は木製たらいに洗濯板か。たたみの上にはちゃぶだいと、火鉢。レトロな箪笥はいま見ると新鮮だ。
これらは江戸期から続く伝統的な品々なのであろうが、現代の日本人の生活からは"かけ離れた"毎日を想像させてくれる。

1925年の国鉄明石駅の写真パネル。通り行く人々の姿には感慨深いものがある。
学校給食のメニューは本当、"最小限"だ。それでもアメリカから小麦を有償提供されたのはマシか。

1930年代の高度成長期に、現代の家電製品の原型が登場する。初期型の電気冷蔵庫、電気掃除機、電気洗濯機、テレビ。"ゆで卵製造器"なんてあったんだな。電気炊飯器に保温ジャーは記憶に残っているぞ。急激に変貌する庶民のライフスタイル。20年不況かつ停滞の現代日本と違って、明るい未来に向かって楽しく暮らすことのできる、そんな毎日だったんだろうな。

実は、1枚の写真パネルに衝撃を受けた。
終戦直後と思われる田舎の光景。正面には水道ホースを持ち散水する丸坊主の男児。男は子供だけでなく、大人も上半身裸だ。下半身にはトラウザーではなく、白いステテコを着用し、暑い夏をしのいでいるのだろうか。
背景には、何かの板を重ね合わせて急造したバラック小屋。側の物干し棒には、着物が干されている。
文明生活の片鱗すら感じさせない、1940年代後半の明石の姿か。
当時の状況を経験された方には申し訳ないと思いながら、正直、僕の念頭に浮かんだのは、2007年に訪れたインドの光景だった。

今回連れて行った母(69歳)にそのことを話すと「そうやで。あたしら、みんな、こんなんやってんで!」 実家は空襲(今風に言えば空爆)にあい、住処も家具も写真も思い出の品々も、何もかも炎に焼かれてしまった、1945年の尼崎。持ち出した財産を叩き売って食料品に替え、その日を生きてゆくという現実を思うと、胸が痛む。焼け跡からの復興、と一言で済ませることのできない、大事にしたい歴史だ。

http://www.akashibunpaku.com/
明石市立文化博物館

くらしのうつりかわり展は、2011年3月21日まで!

最近、大正・昭和初期の"モダンガール"が気になり、書籍を集めはじめた。タイミング良く、ツボを突いた面白そうな催しだ……と言うわけで神戸ファッション美術館(略称:F美)に出向いてきた。(2011年3月3日)

展示領域は大きく四つ。パリ、上海、ニューヨークの小部屋が続き、最大の日本エリアに続く。平日午後だけあって鑑賞者も少ないので、ほとんど貸し切り状態で堪能できた。(F美さんには申し訳のない書き方ですが。)

■まずは最大展示の日本エリアへ。大正・昭和期(~1940)の資生堂、クラブコスメチックス、宝塚歌劇場等のポスター多数が展示され、これだけでも感動だ。
・化粧瓶のデザインは当時から重要だったんだな。
・山名文夫氏の作品に目を奪われた。昭和20年頃までの資生堂のポスターや製品パッケージだけでなく、会報や商業雑誌の表紙を多く手がけたことがわかる。
・國際情報社発行の雑誌"婦人グラフ"の表紙に竹久夢二を発見。
・"ART・GOUT・BEAUTE"誌の表紙はいま見ても斬新。(フランス語が読めたらなぁ……)

・昭和11年の"ホームライフ"誌に掲載されるた応接間の数々。舶来高級家具に囲まれた優雅な時間を過ごすのは、ブルジョア階級なんだとひとめ見て分かる。ソファとカーペットに"火鉢"ってのはいかにも昭和らしい。
・"ホームライフ"誌のご令嬢特集。失礼ながら、昭和12年のご令嬢は「やぼったいおばさん」にしか見えません……。

・最奥部のガラスケースに現物が展示される「パリ・ロンドンのモードの変遷」は価値がある。ルイ14世が逝去して"堅苦しい宮廷服"から解放された18世紀の新スタイルや、1850年代から60年代半ばに中流階級まで浸透したクリノリン・スタイル(誰が流行をしかけたの?)、1900年頃には落ち着いたスタイルとなる。で、1920年代には劇的に変わるモード。ココ・シャネルが与えた影響は計り知れないことが分かる。

・時代は下って1942年発行の"主婦の友"誌の表紙に着眼。「強い国民をつくる母の力」なんてキャッチコピーが。この時代の決まり文句かもしれない。
(自宅にある1942年の"週刊朝日"誌の表紙には「隣組、國の手足だ、動脈だ」とある。背面の"錠剤わかもと"広告にも「あなたのお子様を明日の日本を背負って立つ立派な興亜の國民に育て上げるのは、お母様の責任です」とある。)

■パリエリア
・シャネルをはじめ、"時代を革新した"オートクチュール作品が並ぶ。なるほど、とうならせてくれるドレスもあれば、時代を風靡して消え去ったデザイナーの作品もある。
・個人的には「とんびコートとサロンスーツ」が良い。吉田茂のイメージ。着てみたいが勇気がいるなぁ。

■ニューヨークエリア
・ワンピースとドレスを中心に展示。
・最高に目を引いたのは水着。……ダメ男だと自覚した瞬間だった。

■上海エリア
・解説パネルによると、チャイナ・ドレスとして知られる旗袍(チーパオ)は、清朝の男性と満州族の女性にのみ着用が許され、漢族を含むその他の女性は上衣と下衣が分かれた服装を強いられていたそうな。
・1920年代、清国支配から漢民族が解放され、満州スタイルから脱却した時代。これまた束縛の象徴であった"纏足"からも解放された女性は、こぞってハイヒールを履き、新デザイン(エリ高、ゆったりめ)の旗袍に身を包み、摩登女子(モダンガール)としてマスコミを賑わした。
・ここでは"摩登女子"の愛用した旗袍が多数展示される。
・当時の広告ポスターからは、新時代の強い息吹が感じられるぞ。

いつの時代もファッションは女性優位だけあって、メンズもの(?)で目立つのは「とんびコート」と日本エリアのフォーマルスーツ、清朝皇帝の着用する礼服の3点だけ。しかたないか。

・「着物入場者は無料」だそうで、着物姿の若い日本人女性が一人。実に良い!(館内の写真撮影は禁止か)

・同時開催の"グレゴリ青山のモダン画廊"は、キャリアを実感させる収集資料と言い、その作風(^^)と言い、実に濃い。「展示会のポスター制作過程の展示」も面白かった。

「気に入った作品を選び、じっくりと鑑賞する」ことができた。内容ともども満足だ。
最高のお気に入りは、"1932年資生堂モダンカラー粉白粉"のパッケージだ。山名文夫氏装飾画とその形状は秀逸で、実に物欲を刺激してくれる。

神戸ファッション美術館 あぁ!美しきモダーンズ 東西新世代女性たちの装い
http://www.fashionmuseum.or.jp/museum/index.html
2011年4月3日まで!

面白そうなので鑑賞に出向いた。最終日の日曜午後だけに、人でいっぱいだ。(2011年2月6日)

江戸は日本橋から京都の京師まで五十三の宿場を題材にした、歌川広重の55点の浮世絵全集がメインの展示だ。加えて五十三次名所図会、葛飾北斎の東海道五十三次と、大正時代の写真パネルで構成される。

冒頭の解説パネルによると、当時の浮世絵1枚の価格は幕府の統制から十六文(≒かけそば一杯の値段)とされ、現在の500円程度になるそうな。

で、本展示会は"当たり"だった。お気に入りは……
・『東海道五拾三次之内 日本橋』 暁の江戸。長い領地へと赴く大名の参勤交代の行列が日本橋を渡り始める。橋のたもとでは店員が問屋から野菜や魚を仕入れて小売店に持ち込むところか。構図が良い。超有名作だ。

・『東海道五拾三次之内 府中』 渡し人夫の表情が面白い。

・『五十三次名所図会 桑名』 桑名城を背景に上陸直前の大型船。船上には様々な表情の客が思い思いの姿でたむろする。側によってきた小舟には、物売りだろうか、親子二人の姿。小舟の中央には鍋。できたての"朝がゆ"の販売かもしれない。

・『東海道川尽 大井川の図』 三枚続きの錦絵大判。大井川を渡る大名行列の一行が大写しにされる。身分によって使用する"渡し"には差があるようだ。女性の乗る"渡し"は単なる平板から、持ち手つき、屋根と簡易椅子付きまで様々。槍持ちは二人で平板に乗るだけだし、一組の大名の籠を乗せた"大渡し"は30人で担ぐ壮大さだ。で、小役人は哀れ、肩車だ……。

大名行列を題材にした画も多い。下級役人の"あくび"や居眠りもハッキリと表現されている。

東海道ものではないが、ホラー画も面白い。葛飾北斎の『百物語 笑ひはんにや』はインパクトがあった。

東海道中膝栗毛の写本(?)もガラスケースに展示されていた。当時の文書を読めないのが悔しいが、挿絵だけでも、弥次郎兵衛と相方の珍道中ぶりがわかる。岩波文庫でも読もうかな。

明石市立文化博物館
http://www.akashibunpaku.com/

PEN誌2010年11月15日号の綴じ込み特集記事により、サントリーミュージアムが閉館することを知った。行こう、行こうと思いながら最終週になってしまったが、12月にしては暖かな大阪・天保山へ出向いてきた。(2010年12月20日)

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欧米の作品を中心に200点が有料ギャラリーで、旧帝国時代の内地・朝鮮・満州・台湾の作品と近年の展示会の作品を中心に200点が2Fロビーで展示されていたようだ。ロビー展示も半端ではなく、電話室の内部やトイレ近傍の壁面までポスターで埋め尽くされていた。

ギャラリーではいきなり、ロートレックの"ムーラン・ルージュ ラ・グーリュ"が迎えてくれる。特大サイズのポスターだけあって、印刷した3枚を貼り合わせていたんだな。

ジャンヌ・ダルク。……既視感あると思ったらサラ・ベルナールか! 1889年のポスターで作者はウジェーヌ・グラッセ。なるほど、ムシャの"ジスモンダ"が画期的だったことがよくわかった。その"ジスモンダ"は無いが、ミュシャのリトグラフは"椿姫"、"モナコ・モンテカルロ"が展示されていた。後者は華やかでお気に入り。

カッサンドルの"ノルマンディー号"はアール・デコの幕開けに相応しい斬新さ。

スタンランの"夢"、シュブラックの"ミス・ロビンソン"、ルヴェールの"クレマン自転車"は19世紀末の日本観が前面に押し出されている。"クレマン自転車"は江戸社会に自転車あれば……の図絵で輸入されていればありえた世界だ。ところで父が使用していた1960年代の自転車とポスターの自転車は酷似している。1890年の段階でフレーム形状等は完成の域にあったんだな。(当時のブレーキは前輪のみで、事故も多かったと思われる。)
"夢"と"ミス・ロビンソン"は正にオリエンタル・ファンタジー。バレエ衣装の上に振り袖を羽織って踊る女性ダンサーたち。男は靴とズボンに袴羽織と二本差し。月夜の松林に巨大な扇子と日の丸! 演し物としては面白いかも。

サントリー16年の蓄積の成果。有名なポスターが目白押しだが新たな発見もあり楽しい。
ジェスマールの"MISTINGUETT ミスタンゲット"には目を引かれた。現在でも通用する華やかさ。
HIGGINS ヒギンスの"ハリッジからヨーロッパ大陸へ"は構図が気に入った。複製ポスターを入手したい。

1950年以降のものにはあまり興味が沸かなかった。

旧帝国時代のものは商品ポスターだけでなく、戦時中の「欲しがりません勝つまでは」的な国民啓蒙的ポスターもある。京城の信和百貨店開店や台北の演劇告知も。実に味わい深いなぁ。
諸外国へ日本のイメージを売り込むためのJTBポスター(京都、日光)は戦後のものらしい。華やかで良い。

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サントリーミュージアム[天保山] サントリー
http://www.suntory.co.jp/culture/smt/

「ポスター天国 サントリーコレクション展」は12月26日まで!

いつか食したいと思っていた「生野ハヤシライス」。昭和30年代の鉱山で働く職員の社宅で誕生した、ご当地B級グルメらしい。

史跡生野銀山のレストランマロニエで注文した。(2010年11月27日)

■ポークカツ&ハヤシライス
1,280円也。ポークカツは200g、サラダ付き。

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美味でした。

■生野ハヤシ・オムライス
こちらは950円。クリームコロッケ付き。

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オムレツはフワフワ:一口食べた感想。

甘すぎず淡泊すぎず、絶妙な味付け。玉葱は地元産らしい。また来たくなったぞ。
(もう少し価格が抑えられると嬉しい。

生野銀山 レストランマロニエ
http://www.ikuno-ginzan.co.jp/omiyage/omiyage02.html

兵庫県明石市の明石港と淡路島・岩屋港の間を結ぶ小型フェリーが運行している。その名も「たこフェリー」だ。
かつてはGW期間中の乗車に3時間以上待ちなどの活況を呈していたが、明石海峡大橋の開通・値下げ、ETC休日割引の実施により、利用者が激減した。そして宿命なのか、2010年11月15日に運行が休止される。事実上の航路廃止だ。
これが最後ということで、土日の駆け込み需要の前に乗り納めてきた。(2010年11月12日)

乗船する車両は20台未満。乗船時間が迫ると人が増えてきた。う~ん、"人のみ利用"が多いと。なるほど、これではフェリーはいらないな。

13時20分に乗船。車載甲板は70%程度が埋まった。乗客デッキへ上る。結構混んでいる。この日は快晴に恵まれ、明石海峡大橋がよく見える。一方で朝霧から舞子にかけての対岸は霞んで見える。黄砂の影響みたいだ。

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航海時間は約20分。岩屋港では鳥が迎えてくれた。

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唯一の国道28号線を南下。寂れる一方の淡路島だが、風情があって小旅行には良い。

ついでに"あわじ花さじき"へ行ってきた。サルビアだけ咲き誇っていた。シーズンオフだから仕方がないか。(ここはGW期間中か8月初旬に来ないといけない。)

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ハイウェイ・オアシスの活況と道の駅淡路の寂しさも対照的だ。
明石へ戻る頃には日が暮れていた。ライトアップされた大橋はいつ見ても良い。

たこフェリー。これまで船を3隻から1隻に減らす等の経営努力を重ねてきたが、再起にはつながらなかった。
明石市も援助の期待をにおわす姿勢も見せたのだが、裏切られたカタチだ。(明石市長の"あっさりと見捨てる"ようなインタビュー記事を神戸新聞で読んだ。質問にも「それは会社に訊いてくれ」等と深入りを避けるような態度だし。読んで不快になった。)

これまで何度も乗船し、そのたびに旅行気分を味わってきた。ありがとう、たこフェリー。

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