男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

文化・芸術

首都、東京は丸の内に新しい美術館が誕生した。
皇居の真正面、帝国陸軍練兵場の跡地を買い受けた三菱が、経済と文化の中心地の創造をめざし、最初に銀行として1894年に建築されたのが、三菱東京一号館だ。実は東京駅よりも前にできたそうな。
で、老朽化のために1968年に解体されたのが2009年9月に再建築され、「三菱一号館美術館」として2010年4月に公開された。そのこけら落としである「マネとモダン・パリ」を鑑賞してきた。(2010年6月2日)

この展示会は数日前にpen誌で知り、出張の帰りに立ち寄った。見慣れた丸の内。改装中の東京駅南口から丸ビル方面へ出て西へ向かうと、三菱一号館美術館が見えてくる。
1894年のオリジナルの設計図をベースにレンガ造りの外観は斬新だ。

入り口は中庭=丸の内ブリックスクエア側から。薔薇が見事。コインロッカーは100円硬貨専用。お札を崩せる両替機が欲しいところ。

Sscn1165

鑑賞は3Fから。
最初はマネと同時代の人物と建築物の作品からだ。
Auguste-Josegh Magueオーギュスト=ジョセフ・マーニュのヴォードヴィル座(正立面図)とベルトランの1855年万国博覧会の産業館(断面図)が気に入った。
1851年の世界初のロンドン万博に刺激され、パリはじめ欧米各地で開催されることになった万博だが、2010年ではその価値は縮小し、単なる国威発揚の式典になってしまったようだ。マネと関係ないな。次の展示室へ。

1850年代、マネ駆出し時代の作品。当時パリ流行のスペイン趣味に、レアリスムを追求した作品群だ。有名な「死せる闘牛士」や「扇を持つ女(ジャンヌ。デゥヴァルの肖像)」もあるがピンと来ない。
「La Chantease des rues 街の歌い手」はレアリスムの真髄だろう。売れない流しの歌手が店を出る。喜怒哀楽の表情もすでに失われ、偽りの営業スマイルだけが仮面として定着したのか。店内奥の客は歌に興味が無さそうだ。
「Emile Zola エミール・ゾラ」部屋に飾られたベラスケスの絵画と浮世絵、それにどう見ても日本の屏風絵。japonismeの影響が色濃く表れ、興味深い作品だ。

1867年、ナポレオン三世治下で開催されたパリ万博は、それまでのフランス文化の集大成として華やかに演出されたことだろう。すぐ後の激動の時代を予想する者はいなかったのだろうか。
1870年、プロイセンの電撃作戦はパリを破壊した。普仏戦争に続く内戦=パリ・コミューンの攻防はフランス国民の連帯を破壊した。(3月にロンドンで鑑賞したレ・ミゼラブルを思い出したぞ。)
「バリケード」、「肉屋の前の行列、パリ包囲戦1870-1871年」は戦争そのものが題材だ。
その頃の作品では「Berthe Morisot au bouguet de violettes すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」が光っていると感じた。黒色が周りの色彩を引き立ててる。肖像画における現代性と言うのか。

2Fフロアへ。
1870年代前半の戦乱を乗り越え、フランス文化は再び花開く。マネのレアリスムにもますます磨きがかかる。「ラテュイユ親父の店」は実に華やかだ。周りの目を気にせず、カフェで真昼から女を口説く遊び人風の男。都市文化の華やかな一面ではあるが、1879年に発表されたときは物議を醸したんだろうな。
これ、BRUTUS誌2010年6月15日号の表紙ですね。「印象派、実はわかっていません。」

好きな「フォリー=ベルジェールのバー」は習作のみ展示。本物を観たけりゃLondonへ行けってことか。(そうします。)

「Tableaux de La vie pariseienne. パリの人々の生態」をカフェや街角に捉えた活力ある、しかも洗練された作品の数々。この時代のマネは好きだが、晩年の静物画(レモン、猫、草花)は面白くない。

エドガー・ドガの「ル・ペルティエ街のオペラ座の稽古場」が目立たないところに展示されていた。作品も意外と小さい。(A3からB4程度?)
ナヴレの「L'Escalier de l'Opera de Paris パリ、オペラ座の階段」も気に入った。構図と色彩が良い。

1Fの「三菱歴史資料館」には当時の机や勤め人のスーツ等の複製品に加え、勤務光景のパネルが展示されている。西洋のデスクとチェアーに着物姿とスーツ姿が入り交じり、筆記具も万年筆と"筆"が混在している。面白い時代だったんだろうな。

1Fのマネ展ショップで素晴らしいリトグラフを見つけた。当時のポスターの縮小版で絵と文字のバランスが秀逸だ。189,000円也。でも欲しいなぁ。

美術館のパンフレットによると、1880~1890年代の工芸品、グラフィック作品を中心に収蔵するらしく、ロートレックの「ブリュアン」や「ムーラン・ルージュの英国人」、オリオールの「ざわめく森」等、光る作品がコレクションされているそうな! 今後も企画展が予定されており、実に楽しみだ。

三菱一号館美術館 開館記念展Ⅰ
Manet et le Paris moderne
マネとモダン・パリ
http://mimt.jp/
2010年7月25日まで。関東の人は行くべし!

地中海の宝石、チュニスには以前から興味があったのだが、京都で大規模なカルタゴ展があるという。京都「えき」訪問のついでに足を伸ばした。(2010年3月27日)

鑑賞の前に一休み。珈琲サロン、阿蘭陀館へ入る。旧日本銀行京都支店の金庫室を改装したそうな。調達品も明治時代のものらしく、素晴らしく趣味が良い。
で、ここは高級喫茶だ。普通のブレンドコーヒーが「ブルマンです」って……。なるほど美味だ。内装に負けていないな。

では、鑑賞開始。

ローマに敗北した後、文字通り全土が灰になるまで破壊されたカルタゴだが、墓地の副葬品などは「消失」を免れた。その装飾からは、フェニキア起源の神々への信仰を基本としつつ、ギリシア、ローマの影響を受けた多神教国家の姿が浮かんでくる。
石碑にはバルメット文様なる装飾が多い。
スフィンクスとメドゥーサはギリシャ神話の影響か。

圧巻は「有翼女性神官の石棺」だ。フェニキア、ギリシア、ローマの美術様式の集大成とされているが、その造形美も秀逸だ。
高位の神官、政治家の棺にのみ埋め込まれた、黒大理石のプレートも観る価値あり。ポエニ文字が読めれば、なお良し。(無理。)

金銀のコインは、表面は女神の顔で、裏面は馬の図形で統一されている。ロンドンの銀行博物館で観た古代ヨーロッパの貨幣よりも美麗だぞ。

しかしカルタゴ、とんでもない海軍基地を持っていたんだな。長く地中海の覇権を握っていられたわけだ。

ローマ占領後は、本国のローマ、エジプトのアレキサンドリアと並び、帝国の三大中枢都市にまで発展する。その大事業の中心にいたのが、かつてローマ軍と死力を尽くして戦ったハンニバルだというから驚きだ。(戦死または殺害されたと思っていた。)

富裕市民の邸宅とモザイク芸術には、あまり興味を引かれなかったなぁ。

ますますチュニジアに行きたくなったぞ。

THE LEGACY OF CARTHAGE:A journy Across the Mediterranean
チュニジア世界遺産 古代カルタゴとローマ展 きらめく地中海文明の至宝
http://www.bunpaku.or.jp/exhi_carthage.html
2010年4月4日まで!

19世紀末のヴィーン・セセッションに、鉄骨直線文明に反旗を翻すパリ・アール・ヌーヴォー。20世紀初頭の生活文化と芸術の融合が顕わなポスターが、遠くチェコの博物館から大量に輸送されてきたそうな。
ベル・エポックの香り。これは行かねばならない。(2010年3月27日)

神戸から京都まで、JR西日本の新快速で約一時間。遠いなぁ。
遠いけど、行った甲斐がありました。

歴代の分離派展ポスターのいくつかは、いま観ても刮目させられる。当時は極めて斬新だったんだろうな。

お気に入りの1枚は……1905年の「リエージュ万国博覧会」ポスターだな。ベルギー王国の特徴を随所にあしらい、女性の肩から腰にかけての服飾デザインが秀逸だ。ミュシャやロートレックに比べると扱いは地味だが、それでも気に入った。。

旅行会社のポスターは、20世紀に入っての大衆社会へのレジャーの浸透が感じられる。1927年の「寝台特急北極星号」のポストカードを購入したぞ。

物販ポスターや雑誌表紙も、当時の風俗が感じられて面白い。

KIRIN ~美の巨人たち~で2010年2月に放映されたアルフォンス・ミュシャの「ジスモンダ」も展示されていた! 現物を観ることができて最高だ。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/100206/

なるほど、当時の設備では縦長ポスター原版1枚ものの印刷が難しく、2枚を重ねていたんだなぁ。
ミュシャの作品では、同じサラ・ベルナールを描いた「ハムレット」が僕は大好きなんですが、レプリカ、手に入らないかなぁ?

LIFE WITH POSTERS 1890-1920
LIFE art nouveau
チェコ国立プラハ工芸美術館、チェコ国立モラヴィア・ギャラリー所蔵
アール・ヌーヴォーのポスター芸術展 ~クリムト・ミュシャ・ロートレックなど~
http://www.wjr-isetan.com/kyoto/floorevent/index_7f.html
http://www.kyotodeasobo.com/art/exhibitions/poster-of-art-nouveau/
2010年3月28日まで!(って、終わりか。)

地元、兵庫県神戸市で開催されているので行ってきた。これが最後みたいだし。(2010年3月27日)
10ヶ月前に訪れた、美術館「えき」KYOTOに続き二回目だ。神戸の会場のほうが広いようで、一刻館の玄関と管理人室の再現モデルもちゃんと展示されていた。(例の"桃色電話"も。)グッズ販売コーナーも別のフロアで広く、京都で売っていない品もあった。
http://gaslight.way-nifty.com/on/2009/05/its-a-rumic-wor.html

めぞん一刻の原稿を見る。五代と響子の結婚式だ。衣装の黒は濃淡表現が活きているが、墨の重ね塗りだったのか。

犬夜叉の最終回近くの原稿も良いが、やはり最終回の下絵(ネームっていうのか?)、特に骨喰の井戸からかごめを抱き上げるシーンは何度見ても良い。下絵の段階で、表情とポーズが生き生きとしている。神業だ。

展示ケースには外国語版のコミックスも。前回は気づかなかったが、香港版のめぞん一刻(相聚一刻)10巻の帯に、"WARNING!"と英文で何か書いてある。読んでみると……「販売、貸与、映像上映などのいかなる手段に関わらず、18歳未満の人物の目に触れないよう注意しなければならない」って、アダルト漫画じゃないんですがっ。(さすが中共……。)

大丸ミュージアム・神戸店
高橋留美子展~It's a Rumic World~
http://www.daimaru.co.jp/museum/kobe/takahashi.html
2010年3月31日まで!

高橋留美子さんインタビュー : 高橋留美子展~ It's a Rumic World~ : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/takahashi_r/fe_tr_08070901.htm?from=nwla

風邪なので休暇。夕方に快復したので、録り溜めたTV番組をチェックする。
"ロンドン"と"漱石"でピンときて、録画しておいたNHKの番組を見た。
(放映日は2009年8月13日。)

イギリス支店に転勤した商社勤めの若い日本人女性が「引きこもり」になり、支店長(日本人)に当時の漱石の行動を調査するよう言われ、その足跡を追う話。

当時の文部省の命令により、単身でロンドンに乗り込んだ夏目金之助。
ときは1901年のヴィクトリア時代。フランスをも寄せ付けず、世界覇権をものにしていた大英帝国の全盛期だ。
「どこかアジアの片隅から来た小さな人種」は、当然、イギリス人から理解されるはずもない。背が小さく黄色い自分の姿はコンプレックスとなる。留学期間は2年だが、下宿を転々とし、英国人の先生のところへも顔も出さなくなり、やがてひきこもる。
日記もパタリと書かなくなる。妻、鏡子への手紙の中で「頭がおかしくなりそう」と訴える様は痛切だ。

この小さな下宿の部屋で、これまでの自分は、浮き草のように文学を彷徨うだけの存在であったことに漱石は気付く。英文学の狭い範囲の蔵書を一時封印し、それまでひもとくことの無かった分野の本を読み出すようになる、
そして、自己本位に立ち、著書その他の手段による文学作品の執筆(公開)を自分の生涯の事業とすることを決意する。

ロンドン留学。そこでの引きこもり期間=悩み抜くだけの時間と決意が、偉大な夏目漱石を育んだというのだから、本当、何が起こるか分からない。
「つまり、ヨーロッパのものまねをするのではなく、日本がすごいと思うのでもなく、自分自身が考えたことをかたちにするってことか」
出演女優のつぶやき。結局、これが結論ってことか。

齋藤孝氏、姜尚中氏らの留学時代の経験談も挟み込まれ、若い自分の苦悩が貴重な経験であることを示唆している、

近代の本質を日本人として最初に理解したのが漱石。(姜尚中氏の言葉)
100年後の現在でも読み継がれるのは、西洋近代と日本の関わりの原点が漱石の体験と作品に内包されているから。そう言うことか。

ロンドンに行きたくなり、PEN誌のバックナンバーを購入した。(Amazonの中古商品)

パリとローマは過去と伝統に縛られて変貌を遂げられず、ニューヨークは偏狭な価値観に凝り固まっているのに対し、ロンドンは常に姿と価値観を変え、これからも世界をリードする都市であり続ける、とのインタビュー記事があった。なるほど。

興味深い記事があった。

日本でも市民権を得て久しく、まるで葵の御紋のように"濫用"される「エコ」だが、ロンドンでは、「エシカル」なる概念が浸透している。ethical、すなわち倫理的な、道徳的な、の意味を拡大解釈し「倫理的に正しいライフスタイル」を指す言葉として定着しているらしい。

どこまで理解できているのか、実はよくわからない「地球環境問題」や「人権・人道問題」に対し、まずは身近に実践できることから関与し、個人レベルで貢献しようというものだ。いわゆるエコな生活だけでなく、チャリティやフェア・トレードをも含むのが特徴だ。
大げさに構えず、まずは第一歩から。

エモーショナルな世論に惑わされることなく、自分の意志で「正しいライフスタイル」を実践することが、エコロジーに貢献することになる。個人主義、民主主義の生まれた西洋社会には、まだまだ学ぶことは多いな。

今日が最終日なので観賞してきた。(2009年11月8日)
Marc Chagall シャガールの「花束を持つ少女」と「花嫁の回想」、Pablo Ruiz Picasso パブロ・ピカソの「剣を持つ男」と「青い背景の婦人像」を含め、60点の作品が展示されていた。
1階に特別展示されていた10作品は、有名どころなのだろう。、

個人的には、"巨匠"の作品より、次の3点が気に入った。

・Maurice Utrillo モーリス・ユトリロの「アトリエ座」
10歳から飲み始め、17歳で立派なアル中。酒を断つため母親に"強制されて"始めた絵描き行為が、有名な美術作品を生み出したってわけか。

・マルタン・ディーテールの「父エリック・ディーテールの肖像」
ダイニング・チェアーに浅く座る父親の背景には、巨大な女性の頭部と胸部。そして前方の池に映る抽象物は思想を顕現させたものだろうか? この手の作品は大好きだ。

・Jean Jansem ジャン・ジャンセンの「マリオネット祭」
長野県に「安曇野ジャンセン美術館」があるらしい。オリジナリティ溢れる繊細な作風は秀逸だ。

う~ん……。正直なところ「いまひとつ」な感想だ。
"20世紀フランス絵画の精髄"ということで期待していたんだが、なんか物足りないぞ。
つまり、「フランス絵画の精髄=ルノワール、ミレー、モネを観たければ、山形美術館へ来いっ!」ってことか!

明石市立文化博物館
山形美術館 服部コレクション
美のプロムナード 20世紀フランス絵画の精髄
http://www.akashibunpaku.com/

山形美術館
http://www.yamagata-art-museum.or.jp/ja/index.html

ところで、ピカソのフルネームって、Pablo, Diego, Jose, Francisco de Paula, Juan Nepomuceno, Maria de los Remedios, Crispin, Cripriano, de la Santisima Trinidad Ruiz y Picasso だそうですね。これもすごいのですが、彼が「剣を持つ男」を描いたのが、実に88歳。実に恐るべし!

7月22日は会社の夏期休暇だが、出張前日のため、移動に一日を潰してしまう。悔しいからプチ観光を組み入れたぞ。(2009年7月22日)

名古屋から特急しなの号、塩尻からスーパーあずさ号を乗り継ぎ、甲府駅へ着いたのが午後2時過ぎ。神戸と比べて涼しいこと! そのままバスに乗って美術館へ出向いた。

■山梨県立美術館 ミレー館

Barbizon バルビゾン派の代表作家、Millet ミレーの作品を収集した日本有数の美術館らしい。

代表作のThe Shower「種をまく人」(1850年)を見たが、正直、感動はなかった。
Woman feeding Chickens「鶏に餌をやる女」(1853-56年)はわりと良かった。

個人的には、The Reteun of the Flock「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い」(1857-60年)がピンッときた。本日の当たり作だ! ポストカードも購入したぞ!

で、感動作をメモっていたら、メガネの年増女(学芸員ってやつか)がツカツカ歩み寄ってきた。
「シャープペンシルは使用禁止。鉛筆を使え」って、何をほざいてるんだ? 芸術鑑賞の邪魔だって!

山梨県立美術館
http://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/contents/

■山梨県立文学館 芥川龍之介 アンデルセン

美術館と同じく、芸術の森公園にある。

常設展では、山梨県ゆかりの作家と作品と題し、樋口一葉、井伏鱒二、太宰治、山本周五郎、深沢七郎、檀一雄等の原稿、パネル展示が行われている。
展示室の三分の一を占めるのは芥川龍之介のコーナーで、力が入っている。生原稿、手紙、夏目漱石からの手紙、支那旅行で買い集めたグッズ、自殺時のセンセーショナルな新聞記事、文学仲間の追悼など、盛りだくさんだ。十分に満喫できた。

で、開館20周年記念特設展は「アンデルセン 人魚のお姫様 青い瞳の涙」?
童話だろ? こんなのに時間を割けるか!
と思って後回しにしたが、時間ができたので覗いてみた。

この人、努力と運の大器晩成型だったんだな。貧しい靴職人の家を飛び出し、劇団を渡り歩き、それでも目がでない。理解者に巡り会い、「国語の基礎」を教えられ、文学的才能を伸ばした、か。文字を書けなかったとは、いまから考えると驚きだ。

自らの失恋をベースに書き上げたという「人魚姫」のストーリ紹介に目を通した。
恥ずかしながら、じわっとなりそうになった。
アンデルセンはこう言ったそうな。
「これは……執筆中にわたしが涙したただひとつの物語です」
「物語としてはこどもも十分に楽しめる。しかし、物語の秘められた本当の意味は、大人にしかわからない」
うん、納得だぞ。
童話のかたちで表現された本物の文学。良いものは良い、と言うことを認識した。

「アンデルセン」展は2009年8月23日まで。関東・中部地方の人は行くべし!

山梨県立文学館
http://www.bungakukan.pref.yamanashi.jp/

■閉館時間は午後5時?
普通に考えれば、5時まで閲覧できて、ショップで買い物もできるはず。
美術館にしろ、文学館にしろ、他の図書館などもそうだが、お役所仕事よろしく「5時とは、職員が仕事を終える時刻=私服に着替えて職場を後にする時刻」ととらえているようで、4時50分には閲覧者(お客様だぞ!)は閉め出されてしまう。当然、ショップも閉まっており、人っ子ひとりなし。
公営施設だから「わかっていた」とはいえ、釈然としないなぁ!

東京出張のチャンスを利用して観賞したぞ!
(2009年5月21日)

「これぞルーヴル、
 これぞヨーロッパ絵画の王道」
とのうたい文句に期待は高まる。15時過ぎに会場到着。って、待ち時間40分! ひどいんじゃないか?
会場内も混雑している。しかし並んだ甲斐あって、素晴らしい作品群を堪能することができた。

巨大な油彩の前に立つ。魂の込められたタッチに見入る。

ルーベンスの「トロイアを逃れる人々を導くアイネイアス」は、燃える故郷を追われ、身体ひとつで異国へ脱出する民族の悲劇が伝わってくる。

「テーブルを囲む陽気な仲間」の「おい、酒を独り占めするんじゃねぇゾ」との会話が聴こえてくる。

あと、「ルイ・デカルトの肖像」画の第一印象は、「狡猾そうな顔つき」だなぁ。後世に名を残す偉大な哲学者には申し訳ないが。

個人的には、「アンドロメダを救うペルセウス」(ヨアヒム・ウテワール、1611年)と「クリュセイスを父親の元にかえすオデュッセウス」(クロード・ロラン、1644年)が気に入った。
http://www.ntv.co.jp/louvre/description/pict10.html
http://www.ntv.co.jp/louvre/description/pict7.html

印象に刻まれたのは、やはり「大工ヨセフ」(ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、1642年)だ。
http://www.ntv.co.jp/louvre/description/pict12.html
(3作品ともポストカードを買えた。)

テレビ放映やネットでは味わえない、この感覚。やはり本物だ。

ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画
http://www.ntv.co.jp/louvre/

2009年6月14日まで。関東在住の人はすぐに行くべし。
関西でも2009年6月30日から京都市美術館で開催される。これで安心(?)だ。

京都駅ビルの高橋留美子展に続けて観賞した。(2009年5月16日)

「イタリア美術とナポレオン、美術と歴史が織りなすフェッシュ美術館の至宝をお楽しみください」とのことで、ナポレオンの叔父のコレクションをもとに設立された、コルシカ島のフェッシュ美術館の収蔵品が展示されている。

15世紀のボッティチェッリ(舌を噛みそう)の「聖母子と天使」や、18世紀のジャクイントの「サン・ニコラ・デイ・ロレネージ聖堂のための習作」等が展示されていたが……。
正直、心を鷲掴みにされる作品はなかった。宗教画も迫力はないし。

ただ、「第4章 ナポレオンとボナパルト一族」は良かった。
ナポレオンのデス・マスク。死してなお、石膏型取りされて、人々の前にさらされる。良いのか、悪いのか。

ナポレオン3世の小さな肖像画が気に入った。平服かつ小さな額に納まったもので、煌びやかな衣装を纏ったナポレオン1世の戴冠式の豪華絢爛な巨大絵画と対照的だ。
どうも僕は帝国最後の皇帝、最後の国王に惹かれる。ハプスブルグ帝国の老人皇帝、フランツ・ヨーゼフ1世がそうだし、江戸日本最後の将軍、徳川慶喜がそうだ。
瓦解する国家体制の立て直しに奔走する姿勢が、いまの為政者にない魅力を有しているからだと思う。

で、この京都文化博物館は美術作品だけでなく、京都で撮影された映画のフィルムやポスター、脚本などを保存・展示する映像ギャラリー、京都映画の上映会が行われる映像ホールを有している。いいなぁ。
別館の建物だけ趣が違う。旧日本銀行京都支店であり、国の重要文化財だそうな。明治クラシックスタイル漂う外観と内装が実に良い。

京都府京都文化博物館 イタリア美術とナポレオン
http://www.bunpaku.or.jp/index.html
2009年5月24日まで。

↑このページのトップヘ