男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

文化・芸術

以前、東京・松坂屋で開催されていた展示会が、規模を縮小して京都で開催されている。
なんで大阪じゃないの? 
で、明日が最終日。地元、神戸で蔓延しだした新型インフルエンザが気になるが、こんなチャンスは二度と無いので行ってきた。(2009年5月16日)

来て良かった。貴重な高橋留美子先生のオリジナル原画を、それこそ、30cmの距離で眺めることができた。
ポスターやカレンダー、画集は結構持っているが……。さすがは肉筆の原画。印刷物とは全然違うぞ!
それにしても、細やかなタッチといい、微妙な濃淡の付け方、表情はもちろんのこと、衣服の"しわ"表現のための繊細な色彩表現……。神業だな!
にしても、ホワイト修正の多いのは、新たな発見だ。

数は少ないが、直筆の原稿も展示されていた。うる星やつら、めぞん一刻、らんま1/2の最終回がそれぞれ数ページ分。犬夜叉は最終巻の原稿だ。(東京での展示会開催時は連載中だったから。) でも、最終回の感動シーンのラフ画が3枚、展示されていた。こっちこそ貴重じゃないか!(井戸からかごめを抱き上げる、あのシーンだぞ。)

で、会場は想像を超えた人だかり。
10代と20代が大半。"三十路以上"は……少ないぞ(笑)。

それぞれの原画の下には作成年月が記載されている。めぞんコーナーでは「まだ生まれていないわぁ」との声をちょくちょく耳にし、ちょっとしたショックを感じた。「僕は高校生でした」なんて言ったらドン引きか……。

いまの若い人たちにとって、高橋留美子の代表作は「小学生時代に読んだ"らんま"」なんだなぁ。で、4月に新連載の始まった「境界のRINNE」もよく知られているようだ。良し!

他の作家の筆によるラムの展示が行われていた。こんなのに1/4ものスペースを割く必要があるのかな? まぁ、吉崎観音(ケロロ軍曹!)の作品は良かったが、他のはチョット……。

めぞん一刻のグッズと犬夜叉の複製原画を買ってしまったぞ!(19,000円)
人だかりで疲れたけど、来て良かったぞ! いつか、神戸でやらないかな?

高橋留美子展 It's a Rumic World(WEBサンデー)
http://websunday.net/rumic/

高橋留美子さんインタビュー : 高橋留美子展~ It's a Rumic World~ : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/takahashi_r/fe_tr_08070901.htm?from=nwla

明石市立文化博物館に行ってきた。明舞団地の創世と昭和高度成長期の生活文化の催しらしい。前々からやっていたのだが、いよいよ今日が最終日。
明舞団地に36年以上住まう者として、やはり見ておかねばなるまい。

明石と舞子にまたがる団地だから「明舞団地」。大規模都市郊外型団地として、大阪・千里ニュータウンの次にできたのは知っていたが、本当に何もない丘陵地帯を造成したとは知らなかった。

2DKまたは3Kの、40平米にも満たないコンパクトな住まいだが、一般的なアパートや文化住宅に比べたら画期的だったらしい。
ダイニング・キッチンなる概念も、ステンレスキッチンも、当時の主婦層の憧れだったのか。
いまは寂れた住居群だが、当時はピカピカだったんだな。

駐車場に写っている車なんて、昭和40年代そのままだ!
明舞センターの噴水にしろ、まだ活気のあった商店街にしろ、いまでは昭和の記憶だなぁ。
JR朝霧駅って、JR魚住駅よりも後にできたのか。

実に知らないことばかり。いやいや、堪能させていただきました。

展示は1階のみ。2階では第11回祥月会展として、会員さんの文芸作品が展示されていた。

大林卯月さんの「荒城の月」がベストだ。滅びの美学と永遠不滅の月に杯を重ねる光景が目に浮かぶ。
次は青地に象形的な金文字が見事な、森岡心月さんの「一二三」。
杜甫の詩を味のある字体で書いた北村恵月さんの「春望」も良かったな。

で、展覧会のスケジュールによると、10月には「明石市制90周年秋季特別展/山形美術館服部コレクション/美のプロムナード 20世紀フランス絵画の精髄」なる展示会が予定されている。
ピカソ、ローランサン、シャガール……楽しみだ!

http://www.akashibunpaku.com/
明石市立文化博物館

姫路市立美術館へ出向いたついでに、ヤマトヤシキ姫路店の7階特選ギャラリーへ足を伸ばした。(2009年3月7日)

はっきり言って狭いのだが、ガレやドーム兄弟の作品を中心に、19世紀末ガラス工芸の粋を極めた暖かみのある作品が50点以上展示されている。
見応えのある展示品には納得だ。展示即売らしく、すべて値札がついている。良いのがあったら買うぞ!
入り口のガラスケースに厳重に収められたガラスの壺。表面に盛り上げられた紫色のガラスは蜘蛛ですか? 気になるお値段は、え~と、6900万円ですか? 家が買えるんですけど。(トホホ)

マイベスト? 湖水を往く船が浮き彫りにされた淡いオレンジ色のシェード付きランプが気に入った。19世紀末の物だが電球部分を交換して点灯していた。自宅の机に置き、読書灯に実用すれば価値ある人生が得られそうだ。エミール・ガレの作品だから、値段は200万円オーバー。僕に価値ある人生を送ることは無理なのか……。

[丸福珈琲店]
昭和9年創業、大阪では有名なお店が、実はヤマトヤシキ姫路店の8階にある。
この店のブレンドは「実に濃い」のである。角砂糖ふたつと上質なクリームを加え、自分好みの味を完成させる……。コーヒー党にはたまらない魅力だ。
店内はアンティーク調ではなく、昭和モダンと21世紀の上質なデザインが融合したようで、実に良い。いつか大阪千日前の本店に行ってみよう。

-ガレ・ドームを中心に- ヨーロッパアンティーク展
http://www.yamatoyashiki.co.jp/gallery/information.htm
高い芸術性を誇り、アールヌーヴォーの代表的な芸術家であるエミール・ガレや、次々と新技法を開発したドーム兄弟のガラス作品を中心に、世界中を魅了したヨーロッパアンティークの作品を一堂に取り揃え、展示即売いたします。
2009年3月9日まで!

丸福珈琲店
http://www.marufukucoffeeten.com/
http://www.marufukucoffeeten.com/blog/index.html
「オーダーを頂いてから1枚1枚焼き上げるホットケーキにたっぷりのバターと蜂蜜でお召し上がり下さい。」と書いてあるが、ヤマトヤシキ姫路店でも本当に1枚分の材料を鉄板に乗せて焼いていた。次は食べてみよう!

川西英、ムンク、ピカソの版画を一挙に公開する? 気になって行ってみた。(2009年3月7日)

姫路市立美術館の所有品を中心に、国内外の版画が122点。川西英(サーカス、露台、軽業、等)と川西祐三郎(室津、のじ菊、書写山、等)の作品は安心して鑑賞できた。

ピカソの「貧しき食卓」は力作だ。力強いが暗く悲壮で考えさせられる作品だ。リビングに飾る版画じゃないなぁ。

フランスによるスペイン侵略を題材にしたフランシスコ・デ・ゴヤの「戦争の惨禍」シリーズは、報道写真に通じる社会派作品だ。1863年の作品だが、そのメッセージはいまでも強烈だ。

あと木版、銅版はともかく、リソグラフとシルクスクリーンの技法も勉強になった。

で、永井一正「日本の古典芸能 長唄・三味線」が気に入った! 1981年に制作されたオフセット印刷のポスターだ。月夜を背景に、中央を三味線の弦が縦に走り、その前面を日本の象徴である桜が舞う。われわれの共有する精神が、わずか103ミリ×73ミリの空間に顕現しているのだ。本日の最大の収穫だ。(複製ポスターもポストカードも無かったのが大いに不満だ。)

コレクションでたどる姫路市立美術館の25年Ⅱ 版画の魅力
http://www.city.himeji.lg.jp/art/
2009年3月8日まで!(明日か!)

兵庫県立淡路夢舞台温室『奇跡の星の植物館』へ行ってきた。(2009年2月7日)
実ははじめての訪問になるが想像を越え、巨大な温室と珍しい草花に取り囲まれ、その中で可憐な蘭と洋ランが"これでもか!"と言うくらいに咲きこぼれる庭園は、圧倒的だ。
行く価値有り、ですぞ。

蘭協会のコンテスト受賞作や、各地のラン職人の力作。花々に彩りを添える花器も見応えがある。

圧巻はこれ。1,000平方メートルの巨大な展示場に再現される「大隈重信『侯爵の華麗なる蘭ガーデンショー』」だ。開国によってワッと押し寄せた世界中のランを自宅に集め、ガーデンパーティで開催した晩餐会で披露する……イヤハヤ、貴族的。(桜と洋ランって、結構合うなぁ。)

個人的には江戸時代の蘭と植物に関する展示スペースが気に入った。
幕末はどこの藩も財政難。禄高の減った下級武士は観葉植物の栽培に励む。鉢植えを売っては家計の足しにし、新種の発明に成功すると、
(昨今の不況下、勤務日数を削減し、社員のアルバイトを認める大企業を思い出した。イヤ、笑いゴトじゃないが。)
これだけを観にもう一度訪れてもイイかも。

兵庫県立淡路夢舞台温室『奇跡の星の植物館』-5周年記念スペシャル-
淡路夢舞台ラン展2009
http://www.kisekinohoshi.jp/
2009年3月1日まで!

ウィーン美術史美術館所蔵、静物画の秘密展の観賞に兵庫県立美術館へ行ってきた。(2009年1月17日)
1996年7月に本物の美術史美術館を訪れた。"街全体がmuseum"と断言できるヴィーン(WEIN)の中にあって、シェーンブルン宮殿と並んで荘厳な建物だった。
かすかな記憶を呼び戻しながら、今回の展示を観賞する。

第1章【市場・台所・虚栄の静物】
果物を描いた一般的な静物画だけでなく、農民のダイニングルーム(土間に粗末なテーブルを置いただけ)や市場の活況を題材にした絵画まで幅広い。インパクトがあったのは牛や豚を解体した絵画だ。頭蓋骨や砂時計、天球儀を題材にした絵画は「人生の虚栄を顕した」? 解説がなければわからないところだった。

第2章【狩猟・果実・豪華な品々・花の静物】
なんせオランダは17世紀最強国家! その国力を背景に、遠く明朝シナの陶器や東南アジアの果物などが描かれていた。

第3章【宗教・季節・自然と静物】
やはりこのコーナーが見応えがあった。カソリックの絵画らしく、道徳をさりげなく表現した絵画が多い。(まだカルヴァン派の影響は無かったのかな?)
欲を言えばルーベンスの暗い絵画が見たかったが、無かった。(静物画じゃないから? それとも予算オーバーだったのか……。)

第4章【風俗・肖像と静物】
個人的にはマルティール・ディヒトルの「酒を飲む二人の男」とティベリオ・ティネッリ「貴婦人肖像」が気に入った。(土産にポストカードを買いたかったが無かったぞ! ブー、ブー!)
今回の目玉、「薔薇色の衣装のマルガリータ王女」は特別扱いされていた。まぁ、良い画だ。ん? モデルの王女3歳は僕の姪っ子にそっくりじゃないか!(伯父バカ)

ところで静物画は"still life"か。池澤夏樹さんの芥川賞受賞作「スティル・ライフ」の意味がいまになってわかった。

で、現代アートの展示も見てきた。「さっぱり理解できません」 これって本当に芸術なのか? 暴論を承知で書くが、19世紀までに美術方面における人類の英知が出し尽くされてしまったから、一般人に理解できないものを「芸術」と称しているようにしか思えないのだが……。

今朝の神戸新聞に「県立美術館7年目。建築費300億円、年間経費5億5千万円。その存在意義」に関する旨の記事が掲載されていた。まぁ確かに神戸市立博物館とだぶっているような気もするが。しかし存在意義を問うのなら、同じHAT神戸に多数が建設され、建物だけ無駄に立派で、何をやっているのかわからない県関係の○○センターのほうだと思うが、如何に。

兵庫県立美術館-「芸術の館」-【ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展】
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_0901/index.html
2009年3月29日まで!

今年は源氏物語が執筆されて1000周年とされており、日本各地で記念行事が開催されている。僕の地元、明石でも、文化博物館でタイトルの展示会が催されていたので、車を飛ばして行ってきた。(2008年5月11日)
(正確には、昼食のレストラン=ロドスの入り口にポスターが展示してあり、今日が最終日と知ったのだ。)

1階はオードブル。石山寺の仏像や、絵画や、書物など。まぁまぁかな
2階がメインディッシュ。巻物や屏風絵、掛け軸等の源氏絵と書物など、多種多様に表現された江戸期~大正期の作品が展示されていた。なかでも、源氏物語を書く着想を得たとされる場面「湖水に映る月」の絵画が多かった。
デザートは物販コーナー。たいしたものはなく、買う人も少なかった。(大赤字だろうなぁ。)

印象に残ったのは「雪月花図」だ。清少納言(雪)と紫式部(月)ともう一人(花/華)を象徴する3枚の掛け軸絵だ。その構図といい、テーマといい、気に入った。

やはり「須磨」「明石」の題名にはひかれるものがある。
え~と。須磨は「光源氏が流された場所」とある。多い構図は、遠く都を遠望する立ち姿の光源氏だ。朝廷の行く末を案じてのことか、女たちのことを思ってのことか……(たぶん後者だ)。

明石は、単なる景観の地とされているようだ。どの絵も見事に何もなく、わずかに漁船と淡路島が描かれているだけだ。
源氏物語、読んでみようかな?

http://www.akashibunpaku.com/
(明石市立文化博物館)

エドヴァルド・ムンク展の鑑賞に兵庫県立美術館へ行ってきた。(2008年3月8日)
隣接する"なぎさ公園"と一体をなす美術館それ自体が芸術作品でもあり、カメラに収める人が後を絶たない。

さて、ムンク展。あの「叫び」はなかったが、同作品と同じテーマと思われる「不安」、「絶望」を鑑賞できた。これらは「生命のフリーズ」なる連作の一群であり、ムンクは「声/夏の夜」、「女性/スフィンクス」等の個々の作品でなく、作品群をどのように展示することが新しい芸術に繋がるかを思惑していたようだ。しかし、82歳の死後、遺言で全作品を故郷のオスロ市に寄贈するとは、ある意味すごい。
個人的には「生命のダンス」が気に入った。複製画(B4サイズ250円:笑)も買っておいた。

http://www.nankinmachi.or.jp/shunsetsu/spring2008/index.html
「旧暦で節句を祝う中国では旧暦のお正月を「春節」として盛大に祝います。この時期の中国は爆竹が鳴り響き、祝い事にはかかせない龍や獅子が舞い踊り、おおいに賑わいます。
南京町でも旧暦の正月に合わせ、1987年(昭和62年)から「春節」をアレンジし「春節祭」として開催が始まりました。その間、昭和天皇崩御の年と阪神淡路大震災の年の2回は中止となりましたが、2008年は22年目、記念すべき20回目の開催となります。1997年(平成9年)には、神戸市の地域無形民俗文化財に指定され」たそうな。

神戸市立博物館の「ヴィクトリア アンド アルバート美術館所蔵 浮世絵名品展」を観た帰りに、ちょうど18時からの獅子舞ショーに間に合い、近くで見ることができた。
この獅子舞、日本のものと違って何色もあるようだ。
中央舞台でショーを披露したのは赤と青の獅子で、各店舗をまわっていたのは白い獅子だった。

イベント終了後、南京町のレストラン「海星」で食事していたら、その白い獅子舞が店内に入って来た。店内は歓喜と沸き、デジカメとケータイのフラッシュが光り続けた。目前で力強く舞う獅子は大きく見えた(触るのは控えておいた)。
獅子舞を踊る(中に入る人)は18歳くらいの男子数名で、獅子を先導するのは中学生くらいの男女ペアだ。女子(将来美女確定)はハキハキした受け答えで、周囲の評価高し!
ん、来年も来よう。
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La Rose de Versailles
大丸神戸店で15日まで開催されているので、行ってきた。

日本社会を席巻したベルばらブームのとき、僕は小学生。さらに男だから興味なし、のはずだった。何を間違えたか、古本屋で手にしたコミックスに「飲み込まれ」、愛蔵版を買いこんだのが10年前か……。

当時の原稿(写植されている)がガラスパネルに多数納められ、それを見るだけでストーリーがわかる。否、懐かしくも蘇った。
無垢な愛くるしい少女だったマリー・アントワネットが、権力におぼれて変わりゆく姿。その母、オーストリア女帝マリア・テレジアの苦悩。ルイ16世の凡庸さ。代々、王国軍を統率するジャルジュ家の理想と現実。フェルゼンとの禁断のXX……。
「さぁ行くぞ、アンドレ!」16歳にして近衛大尉のオスカルは、凛々しさ爆発だ。後に女性の本能に目覚めるのがフランス革命の最中で、最愛のアンドレを失うのも革命の最中。その翌日には自らも絶命することになるのだが……。
王道を行く大河ロマン。本物は、やはり良い。

当時のマーガレット誌の表紙を飾るカラー原稿も見応えがあった。
神戸ファッション美術館(六甲アイランドにある、あの斬新な建築物ね)からは、18世紀フランス上流社会で流行したロココ調ファッションの「250年前の現物」が展示されていた。いま見ると、ある意味、斬新だな。

しかし、原作者の池田理代子氏はスゴイ。この作品を世に送ったのは若干24歳で、さらに47歳で音楽大学に入学し、無事に卒業したとは。侮れないなぁ。

今日、昼間は神戸国際会館で、ウィンナー・ワルツ・オーケストラの宮殿祝賀コンサート(NEW YEAR 2008)。夕方はベルばらの世界。う~ん、18世紀フランス王国とハプスブルグ帝国の世界に浸った一日だった。

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