男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

- 102 フランス

2014年7月20日、パリの午後。
■プティ・パレ(パリ市立美術館)
ここにも来たかったんだ。
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・Georges Clairin「Portrait de Sarar Bernhardt」(1876年)
サラ・ベルナール嬢、貴女に会いたかった!
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・Leon-Francois Comerre「Bicyclette au Vesinet」(1903年)
好みだ。そしてこの、人を見下すような目! 痺れます。
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ここは結局、17時45分に追い出された。職員(パリ市の公務員)の一部は閉館前なのに着替え終え、帰る気満々だし。その昔、山梨県立美術館でも同じ目に遭ったぞ。どの国の公立美術館も体質は同じなのかな?
■散策
大統領官邸=エリゼ宮の周りはさすがに制服警官と私服警官らしき人物が警戒に当たっていた。
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サントノレ通りの高級店はどこも閉まっていた。日曜日18時以降だから当たり前か。
で、このあたりでカフェに……と思ったがなかなか見つからない。
ようやくAux Delices de Manonに入店し、軽い夕食とした。カプチーノ、タルト、何かのパンで20ユーロ。
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歩いて歩いてコメディ・フランセーズへ。チケット売り場に並ぶ。もう少しで僕の番ってところで「sold out」って悲しすぎ……。
で、また散歩に出ることにした。


サン・ラザール駅。名画の舞台を直接見ておかねば。うん。
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背後では若い二人の美男子が熱い接吻を交わしているのでした。
聖トリニティ寺院の前のカフェでビールを飲む。6ユーロ。
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22時30分にホテルに戻る。巴里の遅い夕べはこうして暮れたのでした。
続く

2014年7月20日、パリは日曜日。
■オルセーにおるぜー
8時20分にホテルを出て、またまたcafe de la peixにて朝食。この時間は室内でコンチネンタルブレークファーストのみ提供らしく、パン6個とコーヒーにオレンジジュースの統一メニュー。このジュースがすばらしく美味かった。で、25ユーロ。


徒歩でオルセーに向かう。「美術館は朝一番に入場するべし」なので9時20分に到着。この時間で推計600人待ち。9時40分に入場できた。入場料11ユーロ。

まずは内部全景を眺められる場所へ。1900年万国博覧会に併せてオープンした巨大駅のプラットホームだった部分、この半円筒形の天井が良い。
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これまた巨大な時計塔へ。スケルトン文字盤の彼方にルーブル宮殿を望む。絶景なり!

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それでは作品鑑賞へ。保護のため、基本的に写真撮影禁止なのも納得できる。

気に入った作品を何点か。
・Edgar Deger「L'Orchestre de l'Opera」(1870年)
華やかな舞台のもう一組の主役、オーケストラに焦点を当てた作品。ドガ一連の作品に共通する輝くドレスをまとったバレエダンサーを画面上部に配し、中央に黒ずくめの男たちと楽器を側面から描く。オルセーで一番のお気に入りとなった。
ポストカードも購入したぞ。
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・Pierre Auguste Renoir「Danse a la campagne」(1883年)
楽しげに踊る一組のカップル。女の右手に掲げた扇子が良い。でもこの女、ビッチって感じでイヤだ。
構図もタッチもとても良いのだがね。
・Pierre Auguste Renoir「Jeunes filles au piano」(1892年)
柔らかく、それでいて光にあふれた明るい作品。少女たちの美しさと相まって、その存在感は大きい。
背景のライトグリーン~オレンジ色のカーテンが白色と桃色の衣服を引き立てている。
・Edgar Deger「Dansenses motand un escalier」(1890年)
ドガの作品に文句はない。
・Pierre Auguste Renoir「Bal du moulin de la Galette」(1875年)
本作を間近に見ることができて嬉しい。
正面に座って談笑する白いドレスの若い娘が主役かな。ダンスに興じる男たちは皆、娘を見ている。パートナー達も気付いているのかも?!
・「Chrysanthemes」(1870年)
手前にあふれ出る花束。描き込みが尋常ではない。

・「Le quatre parties du monde soutenant la sphere ce'leste」(1872年)
1Fに鎮座する、ある意味オルセーを代表する彫刻作品。
地球を支える四人の女性は世界各地を代表する姿で表現されている。辮髪の中国女性は可哀想だろう。
タイタンに変わって女性たちが世界を支える。これも世相というやつか。

昼食です。11時50分に2Fへ向かう。その名も「Restaurant du Musee d'Orsay」オルセー美術館レストランへ。

1900年には駅舎ホテルのダイニングルームだった場所だ。天井のフレスコ画が見事。
座席は……女神像のお尻の真下に通された。まぁいいか。
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スープが美味い!
メイン(牛肉の煮込み)と巨大なアップルパイはまぁまぁ。50ユーロ。
眺めも内装も味も良し。次は男一人ではなく、誰かと一緒に来たいなぁ。

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2階のアール・ヌーボーコーナーは良し。
多数展示されている家具のディテールに宿る時代の精神。優雅な曲線と動植物をモチーフにした形状と色彩は良いな。
溶接後の完全に除去できていないのは技術的な制約かも。
実物大のデザイン画もある。
・あきらかに「やりすぎ」なキャビネットもある(多数の人間の頭、ヘビ、見ていて気色悪い)。

・Georges Clairin「Portrait de Sarah Bernhardt」(1921年)は往年の大女優の凄味を眼力に集約させている。
若い挑戦者を待つ女王の貫録は、恐ろしくもある。
ポストカードより。
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これからはデザインを重視してモノを購入することにしよう。
ところで、イタリアとスペインのアール・ヌーボーコーナーは新鮮だった。フランス・ベルギーのそれのような植物的な要素は多くなく、むしろ、アール・デコの要素を見出せるように感じた。(Federico Tesioのデスク、チェアーなど。ガウディのもそうだな。)
ジャポニスムコーナーは小規模
日本趣味というより日中印のイメージがごっちゃになった感じ。特にマントルピース上の時計や燭台にその趣向が表れているように思う。
午後は大混雑。朝一番に入館して正解だった。
Vincent Van Goghゴッホコーナーはもろ混みだぁ。
「La Nait etoilei」は以前に東京のオルセー展で観たが、ここで観るとさらに良く感じる。
夜の幾種類もの暗さ、黒。川に映る星々。傑作。
「La Salle de danse a'Arle」(1888年)は黒地に黄色の表現が良い。
・H.T.Lautrec「Jane Avril dansant」(1892年)
ここで観ることができるとは思わなかった。もう少し美人に描けば良いのに。
・Gustave Moreau「Hesiode et la Muse」(1891年)
気に入った。半裸で楽器のみ持ち歩く女の背後に天女あり。
天空に近い神殿、急峻な谷底、何の寓意なのだろうか。
羽の鮮やかな青が好い。
・James Tissot「Evening, dit aussi Le Bal」(1878年)
この作品もここ収蔵だったのか。黄色のドレスと扇が印象的だ。裾のひだまで良く描き込まれている。
・James Tissot「En pays e'tranger (Le Fils prodigue dans la vie moderne)」(1880年)
1883年の万博に出演した外国人のダンサー。って、日本人じゃないか。
踊子9人と欧米人の男に寄り添うゲイシャ・ガール。それに差配するスーツ姿の日本人男性。
こんな発見があるとは。
・Edouard Manet「Olympia」(1863年)
なるほど、物議をかもすわけだな。
オリエンタリズムのコーナーはボヘミアン(市場の)、サハラでの祈り(ムスリム)、アルジェリア・サハラの村人たち(暑くて何もやる気が起こりそうにない)等々。
このオルセー。古代ものもあるが、19世紀からのベル・エポック期のパリの華やかさが余すところなく表現されている。半日以上を確保して正解だった。(16時20分まで滞在した。)
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続きます。

5月に引き続いてパリと、チェコのプラハを訪問した。
5泊7日の弾丸旅行ではあったがアール・ヌーヴォーとベルエポックの華やかさの名残を体感でき、満足な旅となった。

【参考データ】
往路便
 2014年7月19日 関西空港11時30分発AF291便、パリ行き
移動便
 2014年7月22日 CDG空港7時30分発AF1382便、プラハ行き
復路便
 2014年7月24日 ヴァーツラフ・ハベル空港7時発KL3120便、アムステルダム行き
 2014年7月24日 スキポール空港14時55分発KL867便、関西空港行き

パリ宿泊先:Helder Opera(3泊)
プラハ宿泊先:Art Nouveau Palace Hotel(2泊)

■2014年7月19日、出国
関西空港ラウンジへ初めて入ったのだが、思っていたのと違う。CDGエールフランスのラウンジと比べると規模が小さく、はっきり言ってしょぼい。まぁ時間つぶしのための設備だから良いか。出発前に白ワインとチーズとフルーツで気分を盛り上げる。

AF291便の機体777は古く、座席にもガタがきているが、やはりビジネスクラスは快適だ。今回はじめて一番前の席に座った(1E)。
昼食はまぁまぁ。肉が少し硬かったかな。

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今回のフライトはやけに揺れる。気流の影響とはわかっているが、ここ数日の飛行機墜落事故・撃墜事件が脳裏をよぎる。
映画『小さいおうち』を鑑賞。概ね原作に沿った内容だった。

22時夕食はチキン。これはあまり美味しくなかった。

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現地時間16時にランディング。
16時40分に入国。審査はパスポートをパラパラめくっておしまい。審査時間わずか5秒。やる気あんのか。。。

17時15分、ロワッシーバス(10.5ユーロ)でオペラ・ガルニエへ向けて出発。バス乗り場は少しわかりにくいな。
照り付ける太陽の下、予想に反してパリは暑かった。エアコンの調子が悪いのか、バスの中も暑かった。
18時10分、オペラ・ガルニエに到着。観光客でごった返す中、スーツケースをごろごろ転がしてホテルHelde Operaを探し出す羽目に……。
5月に比べて観光客の多さに驚いた。

18時35分チェックイン。
三ツ星ホテルなのだが、設備のあちこちががたついている。日本なら6千円のビジネスホテルだな。まぁ寝るだけだし、ロワッシーバス乗り場に近いことを最優先したから良いか。
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■シャンゼリゼを歩く
2014年7月19日、二度目のパリ。前回入場しなかった凱旋門へと向かう。
ホテルHelde Operaから歩きはじめ、オペラ・ガルニエ、マドレーヌ寺院、コンコルド広場、グラン・パレなどの宏大かつ壮大な姿を眺め、シャンゼリゼの豪奢な並びを楽しみつつ、凱旋門へ。

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■凱旋門
ミュージアムパス保持者がスイスイと入場するのを横目に、入場券購入まで15分。入場料9.5ユーロ。
階段を上って屋上へ。
こうやって眺めると、オスマン男爵の壮大な都市改造計画もさることながら、これを実行に移したナポレオン三世の功績は(その強硬な手段は別にして)後世まで讃えられてしかるべきだろう。

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雨だ。タクシーでオペラ・ガルニエまで戻る。
夕食は、巴里で最初に入った有名店cafe de la peixを選んだ。
中のレストランは高そうなので、テラス席にした。
クラシック・ビーフターターとポテトのセット。ビールを飲みすぎた。50ユーロ。

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ホテルに戻って休む。
バスタブの栓が壊れているし、全館のブレーカは落ちるし……。次は高級ホテルに泊まろう。

続きます。

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